第三十六話 お手紙着いた
第三十六話の1
公爵さんからお手紙着いた
マリア・テレジア様、ご健勝でございましょうか?
突然のお手紙を差し上げた理由は我が国に王太子妃として迎え入れさせて頂いたマリア・テレジア様の愛娘、マリーアントワネット様の事でございます。
マリー様が王太子妃となってから今日に至るまでの所業は大変失礼ながら常軌を逸したものであると言わざるを得ません。
勝手に馬に乗りヴェルサイユ宮殿の周りを走り回る位ならまだしも、素手で剣使いを噴水に投げ込んだだとか牛を倒しただとか、あ、後の二つはあくまで噂に尾ひれが付いた物ではないかと思いたい、いえ、思いますが、それでです。
マリー様はオーストリアにおられた時、どのように呼ばれていたかはご存知でしょうか?
最近ですが偶然知る事になってしまいました。
暴れん坊姫、あるいは王女、と呼ばれていたそうです。
今やこの呼び名がフランス王国にまで飛び火しそうな勢いです。
マリア・テレジア様……
どうしてこの様な重大事を事前にお教え頂く事なくマリー様を我が国へお送りになったのですか?!
マリー様をお任せ頂いた私に何も知らせずに。
私は日々悩み続ける暮らしをしています。
母親である貴女様から何とかして頂けたらと思いこうしてお手紙をお送りした次第です。
何卒お願い致します。
エティエンヌ・フランソワ・ド・ショワズール
第三十六話の2
テレジアさんたら読んでたまげた
「な、何という事! マリアにはあれほどもう勝手は許されないと言っておいたのに!!」
全然言う事聞いてないと知り全身をわななかせるテレジア。
何とかせねば!
と言っても娘は遥かフランスの地で暴れているのだから手が届くはずも無い。
手紙を書くしか無い……
「ええい、ペンと紙を持て〜!!」
第三十六話の3
仕方がないのでお手紙書いた
愛する我が娘マリア、いえマリー、元気で暮らしておりますか?
私は元気にしております。
などと言ってる場合ではありません!
この前ショワズール公爵からお手紙をいただきました。
貴女のフランスでの所業を赤裸々に書かれてありました。
何をやっているのですか〜!!
あれほど勝手は許されないと言ったでしょうが!
私は王室の皆様の言う事を聞き、王室の決まり事をしっかり守り、困った事があればショワズール公爵に任せるよう言い含めておいたはずです!
それなのにどうして!
貴女は我が国とフランス王国を結ぶ架け橋なのですよ!
橋ぶっ壊す気ですか!!
とにかく自重なさい……分かりましたか自重ですよ!
もう一度言います、自重ですよ!!
母より
追伸
どうすれば自重か分かってますね! 周りのいう事を大人しく聞いて控えめにしておく事です!
外に出たがるのを止めて部屋でじっとしてなさい!
元気なのは自慢にはなりませんよ、声は小さくて良いのです!
馬にも乗らないように、必要ありません!
いいですか、自重です、自重!!
第三十六話の4
さっきの手紙のご用事なあに
マリーの自室。
ビスケと一緒にいた。
「マリー様、さっきお母上からお手紙が来たそうですね」
「あ、そうでしたね」
「お読みになったのですか?」
「はい……」
「よろしければどんな話かお聞きしたいです」
「え……と」
「?」
「何の用事だっけ……?」
「読んだんでしょ?」
「んと、一秒で読んだのでよく覚えてないです」
「え〜!? もっと時間かけて読みましょうよ!!」
「ええ、まあそうですね……うふふ」
「もしかしてマリー様って母上様とお仲がよろしく無いんじゃ……」
「いえ、今は別に嫌いではありませんよ。ただ言う通りにする必要はないですけどね」
(それって、意外と複雑な親子関係なんだろうか……)
やっぱり聞くべきではなかったか、などと気を揉むビスケだった。
「今度お母様に手紙でも書こうかしら」
「あっいいですね、それ」
「何を書こうかしら、うふふふ」
この後マリーはここでの生活がどんなものか、あんな事をやった、こんな事をやった等をを書き綴り、手紙を読んだ母の血圧を上げまくるのだった。
三十五話の次の話が中々書き終えないもので急遽書いたのがこの話です。
とりあえず、という事で。
それからあらすじ変えましたのでよろしく。




