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第三十三話 公開問答






「どういう風の吹き回しだ?……」


 国王は大いに困惑していた。

 目の前には笑顔のマリー、硬い表情のショワズール、膨れっ面のデュ・バリーの三人が立っている。

 ここは国王の執務室だった。

 国政に興味の薄いルイ十五世ではあっても政務の為の部屋はある。

 実際どれだけ政務に励むかはともかく。

 そして部屋は先王の作った劇場型のシステムにより民衆の見学が可能だった。

 形だけでも民衆に対して格好を付けられる場所だったのだ。

 十人近くの観衆が見守る中、国王は三人の様子をうかがいながら問いかけた。


 「何の用事できたのだ?三人示し合わせて?」


 「何でそうなるんですか! 示し合わせてなどなどおりません!!」


  デュ・バリーが声を上げた。


 「そ、そうなのか?」


 「そうです!私はいつもの通り国王様に会いに来ただけです!」


 言い切ると彼女は王に歩み寄り側に付いた。


 おお〜う


 観衆のどよめきが聞こえた。

 彼らもかなり気分が高まっているみたいだ。

 状況が状況、しかもこんな場面は滅多に見られるものじゃないだろう。


 「ではショワズール公爵、何用で?」


 (はっ、しまった!)


 ショワズールは焦りまくる。

 用事は無かった。

 単にマリーから離脱する為の方便だったのだ、失敗したけど。

 何とか誤魔化さないと。


 「いや、お先にマリー様からどうぞ」


 「いえ、別に後でいいですよ」


 「そう言わずに! 私はマリー様がどんな話があるのかとても興味があります。そこに居並ぶ皆も聞きたいであろう!」


 おお〜う


 「まあ、そうですの? 」


 観衆を見るマリー。


 おお〜う


 「でしたら……国王様!」


 「うむ、聞こう」

 

 「私はパリを何度か見聞させて頂きましたけど……世界最高の都市と名高い割に衛生上問題が大きいと思います」


 「む……」


 おお〜う


 「ゴミが溢れ放題、下水道が詰まり、セーヌ川が汚れています。何とかできないものでしょうか」


 「うむう、それは、だな……」


 王は言葉に窮した。


 「そ、それについては私も憂慮しておる。どうにかしたいが現実には中々困難な事なのだ」


 「それでも諦める訳にはいかないでしょう。策はないものでしょうか?」


 「ううむ、……そうだ! それについては政務を担当しているショワズール公爵に聞くがよかろう」


 「ええっ!?」


 びっくり仰天のショワズール。

 こんな無茶振り有りか?


 おお〜う


 「公爵様……」


 マリーがなんか期待感を含んだ目で彼を見仰いだ。

 これは何か言わないと……


「いや、だから、マリー様、私も考えてはおりますがですね、現実的には中々困難でしてな。下水道の改修などには大掛かりな手間と何より費用がかかるのです。それを税金でまかなうとなるとパリ市民、いやフランス国民に大きな負担を……」


 「やはりそうですか」


 「う……」


 「できるならとっくにやってますよね」


 「はあ……」


 「無理を言って申し訳ありません。何とかしたいのは誰だって同じなのに」


 どうやら話が収束に向かっている雰囲気だ。

 かなり気疲れしたがこれで終わってしまえば……


 「でも諦めることはありませんよね!」


 おお〜う


 (まだ続きがあるのか?)


 「今は無理でも諦めずに解決する意思を持ち続ける事が大事と思います。私はいつかパリが綺麗な街に戻るのを信じて日々努力する所存です」


 おおおお〜〜う


 反応が五割増しになった。    

 王も感心している。


 「誠に良い心がけだ。お前を王太子妃に迎えて我は誇らしい」

 

 おお〜う


 反応が元に戻った。

 ちょっと国王物足りなさそう。


 「もったいないお言葉ありがとうございます」


 国王にかしこまって礼をいうマリーをデュ・バリー夫人は冷めた目で眺めていた。

 自分は政務政策などには興味は薄い。

 なので口を挟む気もない。

 だがマリーの思惑が国王の印象を良くする、すなわち点数稼ぎだと判断した。

 何の目的か知らないが私の国王にこんな手を使うとは小賢しい。


 一方ショワズールは事がひと段落した事で安堵していた。

 このまま無難に終わってくれれば……


 「さて、後はショワズール公爵、私への用事とは?」


 それが残ってた!


 「あ、いえ、マリー様が深刻な話をされているのを見て自分の用事がそれ程大したものでは無いと実感しましたので、これ以上国王様のお手を煩すのは遠慮させて頂きます」


 「ふむむ、そうか」


 ちょっと無理があったが王が納得したのでセーフだろう。


 「それでは後は……」


 マリーがポンと手を打ち話を切り出した。


 「せっかくですので今からご観覧の皆さんからのご質問にお答えする時間にいたしましょうか」


 「ええええ?!」

 おおおおおお〜う!


 マリーの周りにいる三人の驚きの声と、観覧の場からの観衆の歓声が重なった。


 




 王との問答でした。

 これは政治的な物でしたね。

 次は観衆との問答です。

 これは……

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