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第二十八話 時間稼ぎ






 「兄貴、こいつがずっと追いかけて来たやつだ! こいつさえ何とかすりゃ……」


 「……で、なんで小娘なんだ?」


 「それがよく分かんねえんだけど」


 馬を降りたマリーが頭目と睨み合う。

 

 「悪い事は言いません。今なら馬を返せば穏便に済ませられましょう」


 「分かってねえな。お前の口を封じれば終わりだ。その前にお前を×××してやるぜ!」


 「?」


 「その顔は何だ? おめえが言ったんだろが!」


 どどっどどっどどっ

 

 「何!?」


 ググルに乗ったビスケが突っ込んできた。


 「見つけた〜!!」


 狼狽える男共をすり抜けマリーの元にビスケが馬を降りながら駆けつけた。

 

 「お待たせしました!」


 「ご苦労です」


 頭目がいきり立つ。


 「おい!追いかけてたのは小娘一人じゃねえのか?!


 「す、すいません!」


 「まあいい。女が一人増えただけだ。二人とも×××してやる」


 ビスケの顔色が変わった。


 「なんて下劣な事を!!」


 「下劣なのですか?」


 「あ、いえ、今はそれより……」


 二人対八人。

 かなり不利だ。

 バジーの馬を取り戻そうと来たのだけれど、ここは一旦馬で外へ出た方がいいのでは?

 などとビスケが思っていたら。


 「おい、戸を閉めろ!」


 頭目の声で手下の一人が倉庫の戸を引き出した。

 マリーを見ると微動だにしない。

 逃げる気なさそうだ。


 (マリー様、もう……)

 

 ビスケは一瞬自分がカークの立場になったような気がした。

 引き戸が閉まりかんぬきがかけられてしまった。

 こうなると戦うしかないか。


 (カークさんが来るまで時間を稼ぐべきかそれとも……)


 「さて、お嬢さん方。覚悟はいいか?」


 「お嬢さん!?」


 ビスケが聞き返した。


 「そんな風に言われるのは一体何年振りか……」


 「おめえ何言ってんだ?」


 「あれは今から三年半前……」


 ビスケは時間を稼ぐ方を選ぶことにしたのだ。


 「母がもっとお嬢様らしい娘も見てみたいわと言ったのだ! こっちは父に剣を教えられたから迷わずその道を進んで来たのにその父に教え疲れたなどと言われたら私はどうしたらいい? 今更そんな事言われてもはいそうですかとお嬢様できるか! 化粧の塗りたくり方もコルセットの装着仕方も知らんわ!こんな私に誰がした!」


 「ビスケさん大変だったのですね。でも落ち着いて。貴女の良さは私がよ〜く理解していますから」


 マリーも乗ってくれた。

 しかし。


 「てめえらふざけてやがるのか!? おめえの身の上話なんか知るか! この醜女め!」


 ビスケの顔色が一気に真っ赤に染まってしまった。


 「醜女あああ!? 許さ〜ん!!」


 「ああ、お待ちなさい」


 今にも突っかかりそうなビスケをマリーが引き止める。

 せっかく時間稼ぎに乗ってあげたのに。


 男達の中の一人がマリーをじっと見つめていた。

 どうも見たような顔だ。

 しかし帽子で髪が丸ごと隠れているため確証が持てない。

 一体誰だったろうか……





 

 時間稼ぎです。

 話数稼ぎではありませんww

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