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第百九十七話 一応探す






 一方ヴェルサイユ。

 こちらでは主に軍の兵隊によって暴動を押しとどめていた。

 文句を言うだけで直接行動に出ない者は兵隊側としても手を出しにくい。

 しかしそんな優柔不断な態度を取り続けていては暴動の鎮圧はおぼつかない。

 そんな空気を一変させたのはマリーアントワネットが八〜十人の暴徒を一人で怒涛の如く薙ぎ倒したという話だった。

 もちろん王妃がそんな事をしたなどという話を信用した訳では無い。

 王妃のしでかした事はその突拍子の無さのせいで実際に見た者にしか信じられないと言う特徴があった。

 見た者の話をさほど信じぬまま聞いた者が尾ひれを付けて広めるというのがパターンだった。

 それでも短時間で噂は広まり警備兵達も抜き差しならなくなってしまったのだ。

 なし崩しに王妃に負けるな! という圧に押されて行動する羽目になった。

 それが結果的に良い方向に進んだのだった。




 「困りましたね」


 マリーは呟きながら王のいる執務室へと続く廊下を歩いていた。

 背後に引っ付く様にカークとビスケが続いていたからだ。


 「いくらでも困ってください!」


 カークが大仰に答えた。

 今朝の単独行動に対する対策だった。

 最早四六時中付いて回るのも辞さない覚悟だ。

 

 「大した忠義です。感謝この上ありません……」


 「言葉に心がこもってませんよ?」


 やりとりしてる内執務室に着いた。

 ノックして名乗った。


 「マリーです」


 護衛が戸を開き、三人は入室した。


 「ふむ、護衛ご苦労様」


 「はっ勿体無いお言葉でございます」


 王妃に張り付くのは国王も承認済みである。

 

 「先程テュルゴーから短信があった。今のところ暴動の動きはない。やはり朝を待たねば異変は起きないだろうとの事だ」


 「そうですか……」


 「後は……」


 「はい?」


 「モルパはまだ見つからないそうだ」


 「はあ……」


 もうそれはいいか……


 「今は待つしかない。手は打ったのだから」


 マリーは小さくうなずいた。





 「おお、戻ってきたか。どうであった?」


 対策室に戻って来たバジーにヴェリ師が声をかけた。


 「自宅にはいませんでした。召使らも行方を知らないそうです。おそらく……何も知らずにどっかで遊んでるって可能性もありって事だと思います」


 「何と……こんな時にですか?」


 「ええ、それでご相談なんですが……」


 バジーはアルベールに近付いた。


 「実はです……」


 


 

 

 夕刻六時前。

 日が沈み夕闇が広がろうとしている街は相変わらず賑やかだった。

 

 「いやあ〜すごい人出ですなあ、モルパ様!」


 「そうであろう、これが……」


 モルパは眼前の荘厳な建物を見上げた。


 「オペラ座だ」


 ユルリックが大袈裟に感動の声を上げた。


 「この様な高尚な劇場にわたくしのような者が観覧できるとは感激です!」


 「うむ、そうか」


 モルパは機嫌良さそうに頷いた。

 彼は最近部下として覚えもめでたいユルリックを引き連れオペラの鑑賞に来ていたのだ。

 昨日も友人宅で夜通しの宴会を楽しみ、そのまま昼まで寝ていた。

 そして自宅に帰らずオペラ座に行く事にしたのだった。

 どれだけの人が自分の行方を探しているかも知らずに。


 「それでは行くぞ!」


 「ははっ」


 意気揚々と二人は劇場へと入場していった。

 




 

 モルパも一応重要人物という事で探してます。

 しかしこんな時オペラ座に行くなんて。

 この部分史実通りなんだよね。

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