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第百八十二話 緊迫のパリ






 暴動に対し早急に国務会議を開く準備が執り行われた。

 しかしその間にも暴動は引き起こされた。

 二十八日にはメリュの市場で、二十九日はポントワーズで暴動が起きた。

 ポントワーズはパリ、と言うよりヴェルサイユの北に位置しメリュは更に北にある。

 暴動の内容は更に過激になりメリュでは何百単位の小麦の袋をナイフで破ったり掠奪されたりした。

 ポントワーズはパリの食糧供給にも関わる場所で暴動の規模も大きかった。

 近隣の民が合流したらしい。

 しかも収まるどころか次の暴動の準備までされているという話まである。


 テュルゴーは国務会議で対策を立てようとしていた。

 しかし暴動は待ってくれない。

 五月一日ポントワーズの更に南のサン・ジェルマンで暴動が起きた。

 暴動の波がヴェルサイユに向けて南下してきたのだ。

 しかしテュルゴーは暴徒がパリに達すると予測しパリに向かう事にした。


 テュルゴーはパリに出向く前に執務室でテレーと相談をしていた。

 

 「それでは私はパリへ行きます。国王とは短信でやり取りできるようにしておきました」


 「ああ」


 「申し訳ありませんがヴェルサイユは貴方にお任せします」


 「及ばずながら……しかしだ。パリとここ。どちらに暴徒が来るか……ではなく、どちらに先に暴徒が来るか、かもしれない」


 「両方の可能性もあると言う事ですか」


 「最悪な」


 「王妃様が私と貴方を取り立ててくれて良かったです」


 「入ります!」


 その王妃が入室してきた。


 「パリへ行かれるのですね」


 「はい」


 「出かける前に確認します。彼らはまず小麦の値段を下げろとデモ活動を行い、そこで揉めると掠奪に走る傾向があると」


 「そうです」


 「更に暴動の後、次のデモの予告までしている。主にパリに」


 「はい、だから行くのです」


 マリーはテレーに振り向いた。


 「外からの侵攻……内側と外の温度差とテレー師は言ってましたね」


 「ええ確かに。しかし温度差があっても暴動は外から入り込む。止めねばならぬでしょう」


 「ふむ。もしテレー師の言う通りなら……」


 今度はテュルゴーを振り見る。


 「市場は普段通り開けておいた方が良いのでは?」


 「う……」


 これは判断迷う選択だ。


 「外は十分な警戒を、内は普段のままに。パリ中で小麦など穀物を買えないと内から暴動が起きかねないと思います」


 「警戒が十分なら……そうする事になりますね」


 「万全の準備を願います。ただ暴徒と言え民の命は見捨てないで下さい。命だけは……」


 「……善処します」


 必ずと言えない所が心苦しい。


 「それではパリをお願いします。ヴェルサイユは私が国王様の盾となる覚悟です」


 「えっ?」


 盾って……


 「そしてもしヴェルサイユの方が先に事を納められたなら、速攻でパリに馳せ参じ暴徒に立ち向かいます!」




 勘弁してくれ〜!!






 マリーは動く気満々ですが周りは戦々恐々です。

 ヴェルサイユとパリ。

 どっちも大変ですがマリーは両方欲張れるのでしょうか?

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