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第百六十六話 ばら撒き政策?







 「何、500リーブル?!」


  ユルリックの宝くじ形式のゴミ出しという報告にモルパは仰天してしまった。。


 「おかげで暴動の芽はあっさり摘まれてしまいました」


 「うううう、金か!」


 「はい、金に釣られて住民どもは……」


 「王妃め〜」


 「しかしそうなると他の区域も金で釣るつもりでしょうか?」


 「うむ?」


 「それだと一万リーブル程かかるんじゃないでしょうか?」


 「ばら撒き……金の無駄使いか。予算にも響くな。そうやって費用を食い潰すがいい」


 「はっ全くで。それではわたくしはうちに帰ったらサン・マルセル同様500リーブルの懸賞金がもらえるはずだと言いふらしておきます」


 「うむ、思う存分やれ!報告ご苦労であった」


 「はっ」




 

 モルパの部屋を出たユルリック。


 「よし! なんのお咎めも喰らわなかったぞ! まだまだここで稼げる〜!」


 拳を握るユルリックだが。


 「しかしうちでも早く説明会来ないかな? 懸賞金500リーブル当たるならいくらでも綺麗にゴミ出しするぞ!」


 どっちの味方か分からない事を考えながら帰宅するユルリックだった。





 帰宅したマリーは自室で目安箱の投書を見返していた。

 一昨日入っていた書面。

 手紙の形で投函されていた。



 ゴミを正しく出した世帯を無作為に選んで報奨金を与えれば住民の法令遵守に効果があるのではないか。

 一定期間で良いから適度な金額を試算して実行すれば良い。

 ご一考願います。



 この文を読んでマリーはサン・マルセルでやってみたのだ。

 効果は抜群だったがそれとは別に引っかかる事があった。


 「この文字……見覚えがある」


 二日がかりで気になっていた事だった。


 「似ている…………ヒバリコ先生の字に!」


 自分にとってよく見知った文字だったからこの文面の文字がヒバリコの物とは違うのは分かった。

 だが似ているのも間違い無い。


 「これは……どう言う事?」


 記名は無いので正体も分からない。

 謎が謎のまま残される……


 「先生……今、どこにいらっしゃるのですか?」


 いつか再会を夢見ている人生最大の師。


 「会いたい……今すぐにでも」


 書面を見つめるマリーの瞳から涙がこぼれ落ちた。

 

 「いつか再び会う約束でした。では会う為には私はどうすれば……」


 必要な条件でもあるのだろうか?

 それとも……

 

 「いけませんね。会うために行動するでは。そんな媚びるような真似しては先生はがっかりするでしょう」


 今現在自分の掲げた課題、使命を全力で実現するのが師に対する最大の誠意だろう。

 ゴミ等の正しき出し方回収及び処理を確立する事、そして……


 「え〜と、公平に懸賞金500リーブルの当たりを決めなきゃいけないのよね、どうやればいいかな?サン・マルセルといっても結構広いから……」


 涙を拭き拭き首をひねるマリーだった。


 




 当たり付きゴミ出し。

 考えてみればばら撒きですね。

 今の日本ならばら撒きより減税して欲しいけど当時のパリはどんなもんでしょうかねw

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