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第百六十五話 王妃の人となり






 「先ほど言った通りお二人を咎める気は一切ありません」


 説明会が終わり住人が引き上げ出していた。

 マリーはもう一度トマスとエネに向き合っていた。


 「正体を隠したままだったのですし、知らずに手を出して後で王妃だったから王妃に不敬を働いた分の罪にするというのは酷いでしょう。ここの警官達にもしっかり言っておきました」


 無言で二人は聞いていた。

 トマスの背後の家族達も神妙に聞いている。


 「今日は良い経験になりました。もう少し住人の皆さんのご意見も聞きたかったですが今回はここまでとしておきます」


 「……あんた、どうしてあたいらにそんなにご丁寧に接するんだい?」


 「私にとってずっとそれが当たり前です。子供の頃から」


 「そんな貴族知らないよ!」


 「……私にとっては国民は、民は大事な宝です!」


 「えっ?!」


 突拍子のない単語が出てきた。


 「国民なくして国など無いのです。だから王族である私は国民の為に全力を尽くすのが無類の喜びです。まあ私は飛び抜けてそうなのかもしれませんが」


 「……」


 「なので暴れん坊王女と呼ばれても糞の王女と呼ばれてもまるで気になりません。やりたい事をやっていますから」


 「……」


 無言になるしかない。

 見た事ない生き物見ている気分だ。

 

 「それではこれで失礼致します。お付き合い頂きありがとうございました」

 

 「おい……」


 トマスはマリーを呼び止めた。


 「何でしょうか? 二等賞はちゃんと出しますよ?」


 「違う!! お前…………一体何者なんだ?」


 今更ながらの問いかけにマリーはにっこり笑った。


 「私はフランス王国の王妃マリーアントワネットです。まあどうでもいい事ですけど」





 「今日は実りある一日でした。まだお昼ですけど」


 警察官に見送られつつ帰路の為馬の預かり所に向かうマリー達。

 上機嫌のマリーに比べカークは複雑な表情だ。


 「サン・マルセルを最初に選んだのは正解でした」


 「それですが一体何でサン・マルセルなんですか?」


 ずっとそれが引っ掛かっていた。


 「ただ王妃の顔を一番知らなさそうで一番物騒な街と聞いてますから」


 それが何で?


 「今後中心地などで説明会をしたら先に素性が知れ渡りそうだし、何より一番安全でない所を先にすれば後が楽ですしね。それに……」


 マリーは少し俯いた。


 「一番安全でない所が一番住人が深刻な悩みを抱えていると思ったからです。だから真っ先に行きたかった」


 「そうだったのですか……」


 「だから500リーブルの懸賞金を出して景気付けしました」


 「あれは思いもつかない方法でした。びっくりです」


 「そうですね。でも……これは他の区域全部に同じ事やらねばいけないのでしょうか?そこまで考えていませんでした」


 「今更ですか!!」


 呆れるカークを笑顔で受け流してマリーは歩を進めるのだった。





 

 民は宝。

 マリー節炸裂という事でしょうか。

 説明会の間はマリーは忙しく飛び回る事になるでしょうね。

 

 

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