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第百六十三話 切実な問い掛けと誠実な答え





 

 「あんた本当は身分高いんだろ? 手下何人も引き連れて……」


 食い入る様にエネがマリーを睨む。


 「いくら腹が減っても食べる物がなくて何日もひもじい思いをした事あるか?!」


 「ありません」


 「そうだ!おめえは味もへったくれもねえ枯れ木みたいなパンをただ腹を満たすだけの為に口に突っ込んだ事があるか!?」


 「あります」


 「へっ……?」


 「続けて下さい」


 なんか空気が変わった。

 気を取り直してエネが問いかける。


 「あんた飢えに耐えかねて食べ物を盗んだ事あるかい?」」


 「ありません」


 「おめえは身分の高い男どもがその身分を利用して横暴を繰り返すのを我慢できずにぶん殴っちまった事があるか?」


 「あります」


 またもやあると言われてしまった。


 「あ、あんた金の為に脱いだことあるかい?」


 「ありません」


 今度こそ、とばかりにトマスが取って置きの問いかけをぶっつけた。


 「おめえ…………相手を殺さなきゃ殺されてしまうような目に追い込まれた事が……」


 「あります」





 「…………う、嘘をつけ〜!! さっきから俺にばっかりありますと言いやがって何の恨みがあるんだ〜!!」


 「嘘はついてませんよ。ただ最後のは相手が人外に頑強だったので死んではいませんが……」


 「何の話だ〜!?」


 (も〜、何言ってんだこの人は〜!!)


 カークは頭を抱えまくっていた。

 おそらくは嘘は言ってないのかもしれない。

 だがこれが身分を隠してまでする会話か?!

 もはやこうなったら!


 「ええい、控えい!」


 「カークさん!」


 「しかし!」


 ビスケがカークの腕を捕まえた。


 「この場合素性明かした方がやばいと思います! 危ない問いかけにあります三回言ってますし」


 「うむむ」


 マリーは公園に集まっているサン・マルセルの住人達を見渡した。


 「皆さんの中にもこのお二人をご存知の方もおられるでしょう。色々とご不満もおありでしょうが是非新たなゴミ出しのルールをお守り願います」


 「ふん、誰が守るか!」


 そっぽを向くトマス。

 彼とエネはマリーと住人達の間の位置に立っている。

 マリーの周りはカーク達と警官達が固めていた。

 色々あったがこの場における緊張感は決して低くは無い……


 「それでは〜! ここで皆様にお伝えしたいお話がありま〜す!」


 緊張感もへったくれも無い明朗な声が響く。

 

 「来月より新たなゴミ出しを始めますが、それより一ヶ月の間のどれか一日に担当の者がゴミの様子を確かめに来ます」







 ありますと答えるマリーですが今まで書かれてなかった話がありますね。

 横暴な上流階級をぶん殴ったエピソードは見当たらないです。

 オーストリア時代にでもしでかした出来事でしょうか?

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