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第百六十話 説明しながら……

 






 「新しいゴミの出し方はそんなに難しいものではありませんので」


 住人達の面前で説明を開始するマリーだが先程の男が前列で鋭い視線を向けている。

 マリーの後ろで待機している私服警官の一人がカークに囁いた。


 「あの男、見覚えがあります。ここら辺でたまに起こる暴動に加わっていた一人です。数日牢屋に入った事もあるはずです。確か名前はトマスだった……」


 「そうか……」


 頷くカークだが事が起こる前に全面に出るのは主が許すまい。

 ましてや彼には家族がまとわり付いているのだから尚更だ。

 不本意ながら相手が乱暴を働こうとした瞬間に動くしかない。

 

 「それがいつもの事なんだよなあ……」


 カークはやり切れないとばかりに呟いた。

 

 

 「おい、お前!名はなんと言うんだ?!」


 マリーの説明にトマスが割って入った。


 「ああ、名乗っていませんでしたね。私は……マリィと言います」


 微妙に普段とアクセントを変えて名乗った。

 それで正体を誤魔化せるかは分からないが。


 「あなたのお名前は?」


 マリーの問いに拳で応えた。


 「俺の名はトマスだあ〜!」


 マリーに向けてトマスのパンチが飛び出した。

 臨戦態勢を取っていたカークが飛び出した。

 しかしカークの手はマリーに届かない。

 マリーが前進したからだ。

 

 「受け止めましょう!」


 一歩前に踏み出しながらマリーが毅然とした声を発した。

 トマスの拳が吸い込まれる様にマリーの開いた手に接触した。

 

 ぱしっ


 音と共に拳が正面から掴まれた。

 そのまま拳はスピードを落とさず突っ込みマリーの胸元まで迫る。

 胸に触れるか触れないかの所で掴まれた拳は双曲線を描いて横に突き進んだ。

 

 「うんあっ?」


 トマスの体が腕に引っ張られ外側に開く。

 バランスを崩して傾くトマスの体をマリーが受け止めた。


 「?!」


 驚くトマスの眼前にマリーの笑顔が広がる。


 「ではお話続けましょうか?」


 「ななな何を?!」


 立ち上がり掴まれた手をぶん回そうとするトマス。

 マリーは空いている手を拳を掴んでいる手に添えた。


 「ああ、うあ?」

 

 立ちあがりかけたトマスが片膝を付いてしまった。

 

 「まず普通のゴミと糞尿用のゴミは分ける。これはこれまで通りですね。そして……」


 「おい〜!!」


 遂に両膝まで付いてしまい動くに動けない状態のトマスは残った手を振り回し抗うがマリーには届かない。

 声を張り上げ文句言う事しかできなかった。


 「糞の方ですが入れ物を樽に移し替えやすい物にします。例えば……」


 「てめえ〜! 離せ〜!」


 「ビスケさん、……はいこれです。これはそれ用に作った物で見ての通り陶器製、コップを大きくした形でちゃんと蓋も付いております。臭いものには蓋と言う事で……」


 「だから離っうおうっ」


 「結構頑丈な品で既にお店で売っております。値段はなんと! 特別価格5ソルで販売しております! 安い安ぅ〜い!! あ、同じ様な入れ物を持っておられる方はこれまで通りその入れ物をお使い頂いて構いませんよ。あくまで買い替えるならこんなの有りますよという事ですので。ただしぴったり閉じられる蓋が無いといけませんのでご注意を」


 「貴様ぶっ殺すぞ〜!!あ痛っ」


 


 

 普通に説明していますがこれはマリーだからできる事です。

 こういうのが広まっていくとどういうイメージが出来上がっていくでしょか。

 マリーの何たるかが衆人の元に周知されると何が起きるのでしょう?

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