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第百五十話 残留のユルリック







 「何、王妃が外回りを?」


 モルパがユルリックに聞き返した。

 ユルリックは元々国務会議で高等法院再開の為の発言をさせる目的で雇った男だった。

 高等法院再開に合わせ三部会の復活案を匂わせ、再開が決定したら三部会復活案を引っ込めてお役御免と消え去る予定だった。

 しかし高等法院は再開に失敗し、予定が狂った。

 予定が狂ったついでに何故か彼を首にする予定も狂い、どさくさ気味にモルパの部下を続けていたのだ。

 要はモルパに上手に取り入ったという事だ。

 

 「ははっ、ただ今もパリ郊外の農村部で広報活動をしておられます」


 「ふうむ」


 モルパもパリにいた。

 と言っても郊外ではなく中心部の自宅だが。


 「正に外回りと言う訳か」


 はっきり言ってどうだっていい。

 糞の王女が糞処理をどう農民に説こうと。

 

 「しかし本当にパリが清潔になるのでしょうか?」


 ユルリックの問いにモルパは不機嫌さを増した。

 王妃を肯定する様な要素は拒否感が沸く。


 「あんなの当てにしてどうする!」


 「はっ失礼しました」


 縮こまるユルリックを横目にモルパは顔をしかめた。

 どうだっていいとは言えこのまま放っておいていいのか。

 

 「連れの者はどれだけいるのだ?」


 「はっ自前の護衛が二、三人と役人が三人程です」


 「何とも薄い護衛体制だな」


 役人は本来護衛の為のもので無いはずだ。

 そんな編成で郊外の辺境をうろつくとは不用心という物だろう。

 もしそんな片田舎で一悶着あればどうする気だ?


 「待てよ、これは使えるかも……」


 思案顔のモルパに邪さが浮かんだ。

 彼は一時マリーに殺意さえ抱いた事もあるのだ。

 一悶着くらいどうとも思わないだろう。

 長考を開始したモルパだが……


 「で……どうしたらいいのだ?」





 「……お得な情報はまだあります。 皆様、 今回限り特別に皆様方だけ! 、に調理されたじゃがいもをご試食頂きます!」


 マリーはバッグから木の箱を取り出し蓋を開けた。


 (まだ持っていたのか……)


 カークはまたも呆れ返った。

 かなりの荷物だったろうに。


 「今回限り皆様方だけ! 、ねえ……」


 バジーも呆れる。

 存外したたかな商売ができる人だったのかと。


 「さすがマリー様……」


 ビスケだけは気楽に感心している。


 今回も時間がかかりそうだ。

 すでに陽が傾きかけていた。

 カークは取り止めも無く農民達に説明を続けるマリーを冷めた目で眺める。

 

 「残業やむなしだな……」





 

 

 

 モルパがまた何か企もうとしてますが……

 マリーの実演説明もいかがわしいかな?

 ユルリックがレギュラーの予感……

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