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第百四十七話 ささやかな落成式



 




 「取り敢えずできましたね」


 小屋の壁から出っ張った目安箱を見てマリーは口元を緩ませる。

 彼女の側には国王と王の護衛が二人、そしてカーク、ビスケ、バジー。

 ついさっきまでは小屋を建てた大工と箱を作った職人もいた。

 別に祝いの儀式をする程でもないのでこじんまりとした集まりだった。

 遠巻きに貴族や平民達の混ざった野次馬達が何事かと様子を伺っていた。

 マリー達は目安箱の裏側、小屋の入り口へ回った。

 目安箱から見ると裏口となる。

 小屋に入ると簡素な椅子と机があるだけ。

 目的から言えば十分だろう。

 箱の裏側に歩み寄ったマリーは鍵を取り出した。


 がちゃっ


 箱を開くと。


 「あら、もう書状が……」


 何通かの手紙書状が。

 中を開くと。


 「王妃様目安箱完成おめでとうございます……これは」


 「はっそれは私のものです。ビスケやバジーの分も入ってます」


 「そっちのは私の分ですよ!」


 「なるほどお祝いの書状ですか。ありがとうございます。それはそうですね。まだ民には目安箱の事は伝えてないですものね」


 「それでどうやって伝えるつもりだね?」


 王の問いかけにマリーは遠巻きに見ている野次馬を見た。

 

 「まず、ここにおられる皆さんにお伝えします。もちろん他にも……」


 



 「と言う訳であの宮殿前に目安箱を置きました」


 「なんだべそれは?」


 観衆の一人が聞き返した。

 ここは王の食卓。

 昼食の最中だった。

 

 「国民のご意見を紙に書いて目安箱に入れて下されば私が直々に読ませて頂きます。この国、国民に役立てるため」


 「何だぁそれ? ここで聞いたらいいだけでねえか?」


 「それでは聞く人が限られてしまうでしょう? 今日も入りきれない方がいたそうですね。誰でも手軽にご意見が出せるのが目安箱です」


 「はあ……だが俺字が読めねえし」


 「う〜ん、そこは課題なんですよね。考えときます。取り敢えずパリに帰ったら目安箱の事をご家族ご友人誰でも良いのでお伝え下さい。よろしく願います」


 マリーが頭を下げると観衆は顔を見合わせた。

 毎度の様に王妃が気前よく頭を下げるので観衆達は頼みを聞き入れるしかない、というのがパターンだった。


 「へえ……やってみます」


 「ありがとうございます〜!」


 王はそのやり取りを聞きながらサラダを口に運んでいた。


 (あれで懲りもせず王妃の様子を伺いに来るのだから……何とも民衆というものは)


 


 この後マリーと言葉を交わした観衆達によって目安箱の存在はパリ市民に知れ渡るのだった。






 目安箱が設置されました。

 いろんな意見が投函されるでしょうが炎上したりはするのでしょうか?

 マリーの意見はどうやって発信するかも考えなきゃいけないのかな?

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