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第百四十三話 設計図






 マリーは紙に図面を書いていた。

 簡単なものだったが一応定規を使ってそれなりにかっちり描いた。

 描いた物に文字でちょこっと注釈を付けて出来上がり、といった感じだ。

 

 「よし、こんなものかしら」


 言いつつ立ち上がり席を離れた。

 機嫌良さそうに自室を出て行くのだった。


 



 「あなた、入ります〜」


 「ああ、お入り」


 ドアを開けて王の私室に入ったマリーは早速持っていた図面を開いて見せた。


 「実は御用がありまして。これをご覧下さいませんか」


 「何だね?」


 座席に座ったまま王が覗き見ると。


 「これは……箱かね?」


 「はい。真四角な形をしていますけど別にそれは何でもよろしいんです。前に手紙などを入れる口が有り、後ろに中の物を取り出す扉があると。そして扉に鍵が付いています」


 「ほう」


 「作りは頑丈にして箱ごと盗られないように固定するものとします」


 「それでこの箱は何の箱なのだね?」


 「はい……私は民の意見を国王の食卓にお邪魔する事で見聞きしておりました。それだけでは限りがあります。そこでこれです。国民の意見を紙に書いて頂きそれをこの箱に入れてもらいます。そして鍵の持ち主が箱を開いて意見書を回収する。以前観衆と話していた時ご意見を言ってもらい私が代筆しました。その時思いついたのです。こんな箱があれば私がいなくても民の意見を知れる。まだまだ民の集会議会立ち上げには程遠いのでまずはこの様な事から始めたいと存じます」


 「……」


 こう言う話になるとは思わなかった。

 何と言えば良いものかすぐには思い付かない。

 とりあえず言うだけ言わせてみよう。


 「それで設置場所ですが……宮殿の前か王の部屋の前か……」


 「な、なんと私の部屋?」


 「ええ、部屋の壁の外側に箱を置き壁に穴を開け部屋の中から扉を開けられる様にすれば手軽に書面を取り出せます」


 「い、いや私が取り出すのか?」


 「そうですね、こう言うことは国王様が……」


 「いや、君がやりたいのだろう? なら君が取り出したら……」


 「えっ私で良いのですか!?」


 「ああ、むしろ君しかないだろう」


 「……ありがとうございます! 私が責任持って管理します。読んだ書面は国王様にもお見せします!」


 「何だね、私まで読むのか?」


 「もちろんこれはと言うものだけです! 私だけ読むのは勿体無いと感じたらお見せするという事です」


 まだ設計図だけの段階でそんなとこまで話を進めてどうするんだろう?


 「そして鍵ですが……私が所有し他の誰にも開けられない様にします」


 「何でだね?」


 「他の者が取り出せるのなら検閲され王家に都合の悪い物が捨てられる恐れがあります。また取り出した者に都合の悪い物も捨てられるかも知れません」


 「ふむ」


 「駄文も批判文も何もかもひっくるめて読む覚悟が大事と思います。だから鍵は本人のみ所有で良いかと。錠前もしっかりした物を手配せねば」


 錠前という言葉に王の表情が微妙に変わった。

 

 「錠前か」


 「はい」


 「君だけの為の……」


 「はい?」


 「いいだろう……」


 「??」


 「私が作ろう!」


 「えええ〜??」

 



 


 マリーが色々やってますが……

 こんな事やってたらやはり暴れん坊と言わざるを得ません。

 何が彼女をこうさせるのやら。

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