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第百四十二話 食の合理化


 





 王は今の自分の食卓を見た。

 確かに食べる分の数倍以上の料理が手付かずになるのだ。

 無駄には違いない。


 「いいだろう」


 「えっ!?」


 「面白い。やってみなさい」


 驚きの色をマリーは隠せない。

 こんなに早く了解を頂けるなんて。


 「あなた!」


 「何だね?」


 「感謝この上ありませえええん!!」


 マリーの声が部屋中に響き渡った。


 「な、何だね!?」



 この日より国王ルイ十六世の口癖が何だねになった。





 翌朝、突如調理室に現れた国王夫妻に話を持ちかけられた料理長は仰天してしまった。

 しかし自分のカフェを無条件で宮中に持てるのだから魅力的な話に違いない。

 前向きな返答を料理長から引き出し二人は調理室を後にした。

 その後王の菜園に赴き菜園の監督ジャック・ルイにも話は通しておいた。

 話が具体化するにはもうしばらく時間がかかるだろう。

 こうしてマリーは自らの倹約の第一歩を踏み出したのだった。





 「おのれマリーアントワネットめ〜、またしても!!」


 モルパはどこかの悪役みたいなセリフを発していた。

 ベッドの上で。

 これも前回の会議後と同じパターンだった。

 高等法院の再開をまたも阻止され最早我慢の限界だった。

 搾り取られた体力とは裏腹に怒りのテンションは以上に高ぶっている。


 「こうなったら手段など選んでいられん!!」


 おぞましいまでの表情で叫ぶモルパから発散されるのは…………




 …………殺意!





 「箱? ですか……?」


 カークはマリーの言葉に首をひねる。

 マリーは観衆付きの朝食を取りに向かっていた。

 カークは今日室内の護衛当番に割り当てられていた。

 

 「そう、金庫の様に頑丈で扉を開けられるのは鍵を持ったものだけ。持ち運び不可能な固定型の物。そんな箱です」


 「何の為の箱でしょうか?」


 「うふふふ。完成したら説明しますわ」

 

 「そうですか……」


 その時を心待ちにする、つもりは無い。

 何をしでかすか分からないのに期待は迂闊にできない。

 

 王の食卓の間に着くとカークはドアをノックした。


 「王妃様がお入りになります!」


 おお〜


 ドア越しに歓声が聞こえる。


 「入りなさい」


 王の呼ぶ声が聞こえる。


 カークがドアを開けマリーは足を踏み入れる。


 おお〜


 マリーは満面の笑みで観衆の声に応えた。


 「皆様こんにちは。今日もよろしく願います」


 おお〜


 「ああ、そうです! 今日は面白い話があるのですぜひ聞いてください。お話の後にぜひ皆様のご意見を……」


 「王妃よ、食卓につきなさい」


 「ああ! 失礼いたしました〜!!」


 おお〜


 こうしてマリーのいささかの騒がしさを伴った日常が始まるのだった。






 食事の無駄をなくす試みが始まりました。

 周りへの影響も気になる所です。

 マリーのせいでどんな王室になるでしょうか?

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