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第百四十話 お終いの議題



 



 「先日モンルージュ地区オルレアン街道の陥没事故ですが現在その埋め立て復旧作業を開始しております。前代未聞の事故である為復旧の時期も推定できません。復旧費用は現在財務会議の方で試算中です」


 モプーは机に置かれた書面を読み上げていた。

 

 「復旧も重要ですが今後の事を考えて地下道を調査し陥没を未然に防ぐ必要があります。その為の対策会議を行います」


 テュルゴーが挙手した。


 「議長、二年前にセーヌ左岸の地下採掘場の地図が作成されました。しかしそれは全体の四分の一にも満たない物です。全体の地図を作成すべきだと考えます。地図作成とその対策を立てる組織が必要です。二年前地図作成に携わった者を引き込み組織を立ち上げましょう」


 「ふ〜む……」


 「採掘場監督局とでも言うべきですか……」


 「あ、はい!」


 マリーが立ち上がった。

 

 「王妃様、何でしょうか?」


 モプーが聞くとマリーは頬を染め物事をねだる様な目で議長を見た。



 「あのう、地下迷宮探索局ではいけませんかしら…………」




 組織の名称は次回に持ち越しになった。





 

 こうして全議題は終了した。

 マリーは王と共に自室に戻った。

 さすがにもう観衆はいない。


 「疲れたな……」


 「そうですね、でも実のある会議でした」


 「ああ、だが君が自ら市民に周知に赴くと言った時は……」


 「はあ、それがどうかされましたか?」


 マリーは自分が外で暴れてる時はそこに王が不在だと言う事をつい忘れていたのだ。

 

 「聞きたいのだが……君はパリなどに出かけている時はどんな事をやっているんだ?」


 「えっ?」


 言われてみれば言ってなかった事が山ほどある。

 聞かれなかったのをいい事に本当に言ってなかった。

 暴れ牛に乗ったり人外と素手で死闘を繰り広げたり巨大な肥溜めの前で糞と隣り合わせの戦いをしたり地下迷宮に迷い込んだり火を噴く仮面蛇男達と髪を焼くまでの戦闘したりなどと言ってなかった。


 だからといって言っちゃっていいだろうか?

 言ってもどれだけ信じてもらえるかも分からない。

 大体この人は暴れん坊王女とか糞の王女とか言われている事は知ってるのに、その事を深く考えてないのだから。

 ありがたい事に。

 とは言え何も言わない訳にはいかない。

 ならば……

 

 「民とふれ合い交流をしています。更にパリなどの街や民の抱える問題を直に見て確かめております。その上で何をするか考え行動しております」


 そのまんまだった。

 その結果何が引き起こったかは別にして。

 

 「うんそうか……そんな事かと思ってたよ」


 (えっ…………それで納得できちゃうの?)



 この人すごく良い人だ〜〜!!


 惚れ直すのに十分すぎる!

 一言言っただけで全面的に信用してくれる夫にマリーは感極まってしまった。


 「おお、どうしたのだ? なんで急に涙を浮かべる?」


 「いえ、もう……貴方には敵いません……感謝この上ありません!!」


 「?? ……」


 マリーは怪訝そうな顔をする夫の胸に顔を埋めて咽び泣くのだった。

 




 会議終了しました。

 しかし会議中に色々あったのでそれをどうしましょうか?

 まだ尾を引きそうです。

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