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第百三十一話 会議が始まり……






 国務会議の議長は大法官であるモプーによって執り行われる。

 前回テュルゴーが議長を務めたのはモプーが体調不良を訴え代行を頼んだからだった。

 しかしこれが本当に体調不良だったのかは疑わしい。

 ここの所どうも彼は議長の大法官の仕事をさぼり気味だ。

 前回も会議が荒れに荒れるのを予想して逃げの手を打ったのではないかと噂されていた。

 では今回は逃げ切れなかったという事だろうか。

 大勢の参加者がひしめく中モプーは目立たぬ様会議場の片隅に身を潜めていた。

 どう見ても議長の取る態度ではない。

 しかしそんな態度を取っても会議の責任者なのだから目立たぬ訳もなく……


 「モプー殿!」


 「ひっ」


 モルパだった。


 「これはモルパ殿……」


 「今日の会議、よろしく頼みましたぞ!」


 「あ、はい……」


 言ってる意味は想像つく。

 こちらの立場としては……どうすりゃ良いか?

 

 「モプー様、おはようございます!」


 「うあっ!」


 息を呑み、恐る恐る振り向くと。


 「王妃様! 、国王様!」

 

 狼狽えて国王より王妃を先に言ってしまった。


 「お、お、おはようございます」


 「お元気ですか? この前はお休みになられてましたが」


 「は、はい! 大丈夫です」


 「それは良かった。今日はよろしく願います」


 「よろしく頼む」


 「ははっ」


 強張るモプーを挟んでモルパとマリーが視線を交わらせていた。

 

 「モルパ様、おはようございます」


 「国王様、王妃様、御機嫌麗しゅうございます」


 「ああ、よろしく頼むよ」


 「よろしく願います。モルパ様……」


 「王妃様、どうぞお手柔らかに……」


 作り笑顔を見せるモルパにマリーは作ってない笑顔を返した。


 「今日はとっても楽しみにしておりました! 真正面からお互いの魂をぶつけ合いましょう!!」


 「えっ……?」


 何言ってるんだこの人?

 魂ぶつけるってどういう意味?


 「それではこれで。さあ、行こう」


 異様な空気になったその場を空気を読まない王が妻の手を引いて歩き出した。

 

 見送るモルパに一抹の不安がよぎる。


 (この得体の知れないのを相手に戦わないといけないんだな……)


 そしてモルパと国王夫妻の様子を見比べつつモプーは暗澹たる気持ちに包まれるのだった。


 (会議前から……もう勘弁して……)






  「……それでは国務会議を執り行います」


 テンションの低い議長の声に国王がうなずき会議が開始された。


 「ではまず……前回の持ち越された議題の方から……高等法院の再開についてです。ご意見を願います」


 「では私が」


 モルパが立ち上がった。


 「現在高等法院の活動停止により政務の機能が不全になっております。法の厳粛な管理監視を本分とする高等法院の復活こそ国政の機能改善に必要と断じます」


 それからのモルパの発言は高等法院がいかに必要であるかを理由を付けて説明するものだった。

 かなり最初から体力全開で熱弁している。

 老体なのでこれでは持たないだろう。

 前回の教訓はどうなっているのだろう。


 「……という事であります。これで私の意見は終わります」


 前回と比べて全然短い。

 これなら体力温存ができるが。


 「では私以外にも意見のある方がおられるのでその方にご発言頂きます」


 即座に挙手した男がいた。

 議長の使命を待たずに立ち上がった。


 マリーは男を悠然と見た。


 (エギヨン公ですか……)


 モプーが彼を指した。


 「ではエギヨン公、御発言下さい」


 「はい。今この時にあって高等法院はぜひ必要な物であると言いたい」


 彼の発言は概ねモルパと同じ内容だった。

 言い方の違いはあっても。

 そして発言の長さもモルパとそう違わずに終了した。


 「……以上です」


 テュルゴーはエギヨンを硬い表情で見つめていた。

 元政務の三頭の座にいたエギヨンを味方につけるとは。

 元々義理の甥であるエギヨンを三頭の座から下ろし、代わりにその座に居座ったのはモルパだと言うのに。

 まあ色々あったのだろう。

 高等法院は彼の利益にもなるのだろうし。

 視線をエギヨン公からマリーに移した。

 彼女も国王もエギヨン公を悠然と眺めている。


 (何とも頼もしい事だな……)


 まあ国王が悠然としているのは理由が違うだろうが。

 

 「他にご意見を述べたい方は……」

 

 「はいっ」


 モプーの声にすぐに反応したのは……





 

 会議始まりました。

 と言っても実際どんなやり取りをこういう会議でやる物なのかよく分からないです。

 やはり政治、議会は難しいというかむず痒いというか。

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