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第百三十話 会議前なのに


 



 自分が望む民の為の仕組みって……


 「今やってるこれ……?」


 「??」


 観衆はマリーの言葉に首を傾げていた。

 意味が分からない。

 一方マリーは。


 「なるほど。しかしこれは正式な機構としてとても使えませんね。私的すぎますし。それでも……」


 「あの〜何をおっしゃっておられるんですか?」


 その問いかけにマリーは大きく頷いて微笑んだ。


 「ありがとう。ここでの歓談は私にとってとても有意義なものでした。感謝この上ありません」


 「えっえっ?」


 急に丁寧に礼を言われて驚く観衆達。


 「これからもよろしく願います。ところで……」


 二十人はいる観衆達を見回してマリーは言った。


 「皆さんが日頃こうして欲しいこうだったらいいのにといった事をお話し願えませんか?」


 

 

 


 「ふ〜む、そうですか。書き留めておきますね」


 観衆達の様々な意見を丁寧に聞くマリー。

 切羽詰まった物からどうでも良いような物まで色々と。

 しかも紙とペンを持って記録までしている。


 夫のルイ十六世は食事を済ませた後も椅子に座ったまま漫然としていた。

 妻の行動には関わらず、しかし聞き耳を立てていた。

 つまり付かず離れずの状態だった。

 やはり妻の行動は気になる。

 しかし国王は妻の様子を伺うだけで多くの観衆の話を聴く事になるのを考えには入れてなかった。

 民の立場、考え方をいつの間にか吸収していたのだ。

 そして今日は意見要望そのものを聞いている。

 国務会議の前に。

 

 「それは奥様に対する愚痴ですね、単に」


 「いや、そうだけど……」


 「です」


 と言いつつしっかり記入しているマリー。


 「奥様の意見も聞かないと。今度こちらに連れて来られたら?」


 「えっ?」


 「ここは女性禁止とは言っていませんよ?」


 「それは……」


 「何かお困りになりますか? うふふふ」


 楽しげに言われて所在なさそうに俯く男。

 ひとしきり記載をした所でマリーは考え込む仕草を見せた。


 (う〜ん、これは……民の意見を聞く為の専用の場所を用意して集会のような物を作ってみては? 国王の日常を観衆に見せるのの延長線上として。王妃の日常を観衆に見せる名目で。国王様がその場にいなくてもそれができるならば……)


 これは相当難しい案だ。

 民の意見を自分が一手に引き受けるのは独善的だ。

 それでも……



 音頭を取る一人も必要です



 こんな所でこの言葉を思い返す事になるとは。

 とにかく具体案を作り上げるのはまだ先だろう。

 国務会議には間に合いそうもない。


 「…………」


 マリーは自分の手の内にある書面を見下ろした。

 たった今自分が記録した紙面。

 その時マリーの脳裏に閃光が走った!


 「あ……ああ!!」


 素っ頓狂な叫びに皆が、国王もマリーを振り返った。


 (良い事思いついた!!)


 それは国務会議とは全く関係ない事だったがマリーにとっては妙案だった。


 (そうだ……民の意見を広く知るための……意見書を公募し集める仕組みを立ち上げよう!)


 俄然やる気が出てきた。

 国務会議も乗り切れる気がしてきた。

 根拠がない自信だが。


 「よっし、行こう!!」


 拳を握る王妃を見て観衆も警護の兵もそして国王も奇異な物を見る様な目になっている。


 (また王妃がしでかしそうだな……)


 国王は被りを振った。

 国務会議はまたしても骨が折れそうだ……



 そしてその国務会議が開催されるのだった。






 

 会議始まる前にあっちこっちに考えが飛んでます。

 やりたい事が増えてく感じですか。

 これで本番大丈夫?

 

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