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第百二十話 ラスボス






 「ボス〜!!」


 黒仮面は追おうとするカークを振り切りドアの向こうへ消え去った。

 

 「うぬっ」


 カークがドアに駆け寄り開け放ったがもう姿は見当たらない。


 「ボスがいるのですか」


 カークが振り返るとすぐ後ろにマリーが立っていた。

 改めて見てみると衣服の右肩部分が焼け落ち胸元にも焦げ目がある。

 腰まであった髪が二十センチ程短くなっている。

 もちろん体全体に汚れが付いている。

 これが守るべき主の有り様か……

 

 「とにかく彼らから情報を聞きましょう」


 マリーは捕らえた男達を見やった。

 カークはマリーに一言言いたかったが今は言葉を呑んだ。

 マリーは捕虜達に近付き問いかけた。

 

 「あなた達は何者です?」


 「…………」


 無言。


 「ボスとは?」


 やはり無言。


 「おい、答えろよ! 答えねえと……」


 銃を突き出すバジー。

 白仮面の男が渋々答えた。


 「ボスの名はラースだ……」


 びしっ!!


 遠くから何かが弾ける様な音がした。

 開け放たれたままのドアの方からのものだった。

 ランタンを持つとカークが通路に駆け寄り覗き込む。

 暗闇の奥から明かりが浮かんだ。

 明かりはゆっくりと近付いて来る。

 

 足音が聞こえる。

 しかもかなりおびただしい数の。

 その足音の大部分は人の物とは違うようだ。

 じゃらじゃらと鎖の音も聞こえる。


 人の姿が見えた。

 松明を持っている。

 例の黒仮面の男だ。

 その後ろに続く影が止まった。


 地下通路に声が響き渡る。


 「お前らかい、あたしの縄張りを荒らす不届き者は!!」


 カークは通路に踏み込むとランタンをかざした。

 黒仮面の背後に控えるのは……


 がるるる!


 漆黒の大型犬が三匹唸りを上げていた。

 首輪に鎖がつながれており、その三本の鎖を握っている者は。

 大型犬と同じ色をした革製のロングドレス。

 足元には網タイツが見え隠れしている。

 片手だけで三本の鎖を持ち、残る手には黒い鞭を握っている。

 彼女は鞭を振るって見せた。


 びしっ!!


 床を打った鞭の音が響く。

 さっき部屋までとどいた音はこれだったのだ。

 

 「このあたしと地獄の番犬が制裁を加えてやろうじゃないか!」


 カークはただならぬ殺気を三匹の犬達から感じていた。

 種類は知らないが大きさが尋常では無い。

 頭頂までの高さが軽く一メートルを超えている。

 こんな獣が襲って来たらどうやってマリー様を……


 「あ……」


 こういう場合当然マリー様は……


 カークは傍らを見た。


 (やっぱりいた!)


 慌ててカークは手を回してマリーを守ろうとした。

 しかし。


 『?」


 マリーの表情にカークが目を奪われた。


 「犬……」


 顔面蒼白だった。



 「…………犬……犬、犬、犬ぅ う う う 〜〜!!」


 マリーの絶叫が迷宮に響き渡った!



 え…………これって?


 もしや、マリー様って……



 犬が怖いのか〜〜〜?!






 やっとボス戦です。

 簡単に勝てる相手でしょうか。

 マリーが万全なら大丈夫なのでしょうが……

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