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第百十話 ダンジョン探索







 地下通路は真っ直ぐ進む道にいくつかの横道が伸びている。

 暗くて視界が悪いので迷わぬよう横道はスルーしてひたすら真っ直ぐ進んだ。


 「マリー様、早いです!」


 カークが突っ込みを入れる。

 マリー程他の者は目が良くない。

 

 「……?」


 突如マリーが足を止めた。

 慌てて三人も急停止する。


 マリーが横に分かれた道に振り向いた。


 「少し明るいですね」


 「えっ?」


 「光源があるのでしょうか?」


 マリーは横道に入って行った。

 人一人やっと通れる程の狭い道だ。

 壁にぶつからない様に気を付けながら進みゆくと薄ぼんやりと通路の出口が見えてきた。

 マリーは引き寄せられる様に出口に歩み寄り、くぐり抜けた。



 「!!」


 マリーはこの地下道に閉じ込められてから初めて天を仰いだ。

 天井の高さは七、八メートル位だろうか。

 その天井を数本の柱が支えている。

 石を積み上げて作った柱みたいだ。

 そして天井の高さ以上の奥行き。

 これはもう立派な広間だ。

 そしてその広間全体が黄ばんだ灰色一色で統一されている。

 壁面に目をやると激しいタッチで何人もの女性の裸体が踊っていた。

 天井半分のサイズで。

 その下方には祭壇らしき物があり人の頭蓋骨が置かれていた。

 そしてそれらが見えるという事はそこには灯りがあるという事だ。

 マリーは壁に幾つかのランタンが備わっているのを認めた。

 

 「誰が住んでいるんだ?」


 背後からバジーが口を出した。

 カーク、ビスケも驚きながら部屋に入ってきた。

 マリーは部屋の真ん中まで歩いて辺りを見回す。

 石でできた同じ色の天井、壁、床、柱。

 そして目の前に石の机、背もたれの無い石の椅子。

 机の上には石の灰皿が置いてあった。

 吸い殻が何本かある。

 そして踊る女性の壁画の反対側の壁に目をやると。


 「……!」


 動物の頭部の剥製が壁に並んで掛けられている。


 左から……山羊……馬……牛…………


 …………猫! 犬!!


 マリーは顔面蒼白になった。


 「何だこれ全部家畜じゃねえか!?」


 バジーがマリーの肩越しに声を上げた。

 鹿を狩りで仕留めて戦利品として首を剥製にして飾ると言うならまだ分かる。

 だが身近な家畜やペットを剥製にして首を飾るなどという話は聞いた事も無い。

 一体どんな趣味の持ち主がこんな事をするというのか。

 剥製から目を逸らしたマリーはもう一度部屋を見回した。

 黄ばみがかった灰色に染まったこの地下の迷宮。

 

 「こんなもの見た事ない……パリと、地上とはまるで違う……」


 マリーは呟き続ける。


 「…………まるで異なる世界に来たみたいです」

 






 ダンジョン探検となりました。

 少しは異世界っぽい?

 さてこの異様な部屋は何を意味するのでしょうか。

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