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第百七話 陥没







 パリ、モンルージュ地区で人由来の肥料の運用に関する会議を行なったマリー達は意気揚々と帰途につく事となった。

 オルレアン街道を北に向けて四人は歩き出していた。


 「う〜寒、風呂入りて〜」


 今日は十二月十七日。


 「バジー、贅沢になったな。風呂など本来王族貴族しか入れないぞ」


 カークが突っ込みを入れた。

 小トリアノンの風呂をマリーが部下に解放したためそうなったのだ。


 「バジーさんはパリの自宅に戻ってください。私はマリー様とお風呂に入ります」


 「なんだよそれは!」

 

 「風呂は良いですね〜、じっくり浸かっているとそれこそ天にも昇るような……」


 ごごごご……


 「?」


 ぼ こ っ !!


 突如ビスケの体が落ち込んでいく。


 「ひい!」


 「ビスケさん!」


 その時マリーはとんでも無い光景を目にしていた。

 轟音と共に街道の中心が真っ二つに割れ、ものすごい勢いで陥没していく。

 まるで中心に向けて滑り台の様に傾いた道路をビスケがあっという間に滑り落ちていった。

 マリー達三人はひび割れた道路のすれすれの所で巻き込まれるのを免れていた。

 ビスケは道路の中心のひび割れの中に吸い込まれていった。


 「ビスケさ〜ん!」


 マリーは姿が見えなくなったビスケに向けて叫んだ。

 返事はない。


 ごごごご……


 地鳴りは更に数秒続きやっと収まった。

 ここで初めてマリーは周りを見回し全体の状況を確認しようとした。


 「…………これは!」

 

 マリーは目を疑った。

 遥か彼方までとてつも無い長さで街道が陥没していた。

 何百メートルになるだろうか?!

 最早陥没などと言うレベルでは無い。

 一体どうしてこんな事に……

 

 「マリー様!」


 カークが叫ぶ。


 「ビスケを助けます! ここでお待ちを」


 そう言うとカークは自ら陥没した道を滑り降りていった。


 「そうだ……」

 

 今は目の前の人間を救わねば!


 「バジーさん、ここでお待ちを」


 「えっ?!」


 マリーもカークに続き滑り降りていった。


 「そ、そんな、どいつもこいつも無茶苦茶だよ〜、あ!」


 ぽこっ


 足元の道がひび割れバジーは尻餅をついてしまった。


 「うわあ〜!!」


 バジーもマリーの後を追って滑り落ちていった。





 「うう……」


 ビスケは呻きながらうつ伏せになった体を起こした。

 道が割れて滑り落ちたのは覚えている。

 ではここは……


 立ち上がり周りを見ると二つに割れた道路が自分の目の前にある。

 随分先まで割れた道が続いていた。

 自分は今割れた道路の挟まれた位置にいる。

 反対側を見ると……


 「これは!」


 陥没した道が途切れた所に見えた物は……

 そこには幅一メートル、高さ二メートル程の長方形の通路があったのだ。


 ずざざざっ


 「ビスケ〜!」


 カークが滑り降りて来た。

 

 だんっ


 「大丈夫か?!」


 「カークさん! 大丈夫で……」


 ずざざざっ、すとんっ


 「大丈夫ですか!」


 「マリー様!!」


 「なんで降りて来たんですか?!」


 ここでお待ちをと言ったのに。


 「このまま捨て置けませんでした。上にバジーさんがいるので大丈夫……」


 ずざざざっ


 「うわあっ」


 ずとんっ


 バジーが尻餅ついたポーズのまま落ちてきた。


 「いててて」


 「バジーさん! 貴方まで落ちてきてどうするのですか!」


 救助の面から考えれば上にも人がいないといけないだろう。


 「違うんです! 足元で小さな陥没が起きて落っこちちまったんで」


 「なんと……とにかく状況を確認せねばなりません」


 「それですけどマリー様……」


 ビスケはさっき見つけた物を指差した。

 マリーが目を見張る。


 「これは……通路ですね」



 



 

 という事で道が陥没してしまいました。

 通路が見えますが一体どういう事なのか。

 どうにしろ国務会議はまたお預け決定ですねw

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