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寿限無
「どうぞ」
少年王、王となり
賢王と言われるようになった
彼は、その歳のまま亡くなっていく
私は、その人が一文字ずつ
『寿限無、寿限無…』と、描き綴っていくのを見ている
書いた文字が終わり
どうた、と言わんばかりに見た人が
年老いてはいても、あの頃の顔をしているのを見る
「さて、後は唱えて見せたら完成ですね」
と、言う
ヨボヨボの王が、それでも頑張って唱える『jyugem』
『女神!私、この人をもらっていくわ!』
声高らかに『寿限無…(その他、略)』は言う
「ありがとう」
その2人が、その後どうなったのかは
誰も知らない