異世界?
死んだばかりなのに、ごちゃごちゃ言われても…
普通の女子大生を送っていたのに…
猫を助けたと思ったら、転生ですか?
『貴女には、新たな人生を異世界で送られることになりました」
と、時軸の女神が言う
『それに関して、ひとつだけ願いを叶えてあげましょう』
「では…」
私が望むのはただ一つ
「名前を換えてください」
『名前とは?真名の事ですか?』
「それを意味するのが何なのかは分かりませんが」
と、正直に答える
「何となく、名前を簡単に答えていいようにされるのは
望んでいないからです」
『わかりました』
無機質な声が促す
『変えたいと思う、名前をどうぞ?』
「では…」
…幾ばくかの、時間が流れる
『本当に、貴方の願いは、こちらで良いのですか?』
と、無機質な声が何度か問い返して来る
その度に
「はい」
と、答える
『では、もう一度お願いします』
無機質な声に
「はい!」
と、明るくお返事して
「どこから、続ければよろしいですか?」
と、答える
「何というか、セキュリティー?みたいな事も考えていますので
漢字でお願いしたいのですが?」
と、何度目かの念を押す
『…はい…』
無機質な声が、次第にウンザリしたようなトーンになる
そして、無機質な声が
『…初めから、お願いします』
と、言った
「はい‼︎」
と、元気よく答えた
そこからも、時が流れた
『…これで、間違いありませんね?』
と、念を押すので
「はい!…でも、不安でしたら、もう一度確認しますか?」
と、念のために聞いてみた
『いえ!大丈夫です‼︎』
と、無機質だった声に感情が出ているのは少し嬉しい
「ありがとうございました」
と、頭を下げて、付き合ってくれた事に礼を言う
「…あっ!」
と、子供の頃に読んだ本のネタを思い出す
『まだ、何か⁈』
と、無機質だった声がキレ気味に聞くので
「…いえ、昔読んだ本のネタを思い出しまして…」
と、正直に答える
これ以上、関係を持ちたくないのか、無機質を通り越して
おざなりに聞かれる
『…一応、お伺いしておきます』
「いえ、
『お願いを一つだけ叶えてあげる』と言われた人が、
『では、お願いを三つ叶えてください』と言うんてす」
と、答えた