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メルヘンチック?

階段を駆け下り校舎裏に出れる連絡通路まで来る。

校舎裏はジャングルと表現されているが俺的には森のほうが表現がしっくり来ると思っている。

校舎裏は旧校舎が使われなくなってから十何年もたっているらしく、誰も整備していないせいで密林よろしく木が乱立し、入って迷子になるどころか入ることすら困難なので立ち入り禁止にはなっていてもほとんど施錠すらされていないらしい。らしいのだけれど・・・。


うん、いろいろとおかしいことはわかるよ数十年ならわかるけれど十何年で隙間がほとんどないほど生い茂るなんておかしい。そしてその不思議な光景にほとんどの人間が疑問を持っていないというのもおかしい話だ。

とはいえ今はその疑問に対して考えたり考察している場合ではないのであとにしておこう。


「ねぇ、四方山。これほんとに入れるの?」


そう早川が疑問に思うのは仕方がないことだ。

だって連絡通路の扉の窓から見える風景は木が侵食し旧校舎までの道をふさいでしまっている。これでは旧校舎まで向かうことはできないのだ。

そう旧校舎にはだ。


「大丈夫大丈夫」


そう言ってドアを開けるとタイミングを見計らったように風が吹き木々が揺れ始める。

そして連絡路の途中、ちょうどあのドアの位置からは見えない場所に一人が通れるくらいの隙間があるのだ。

この道は少ない生徒と教員しか知らない秘密の小道、そこを抜けると生臭いようなきつい匂いを発するドブ池があった。


「こんなところにこんな池があったのね」


「教室から見えてるけど?」


「そうなの?」


そう、このドブ池なのだが、実はうちのクラスからギリギリ見える位置にあり、隣のクラスではちょうど真ん中に見える位置に池が位置しているわけだ。

そんな場所にあるからか生徒たちがゴミを投げ捨てることがあるらしく池どころか周りにも以前は散乱していた。

ここよりも先にいつも用事があったため、通りがかりにゴミは回収していたけど、流石に池の中までは拾いに行けず、池には無数のごみが浮かんでいる。

あの女子がこの道を知っているとは考えにくいので、多分教室の窓から投げ捨て・・・。いや、多分わざわざここまで捨てに来たのか。さすがにあそこから投げればだれか気が付く。

遅くなって水攻めにあったのは多分鞄の撥水加工のせい。徐々に浸水し仲が濡れていったせいで水浸しになるのが遅かったのだ。

もし中身だけ捨てられていたらもっと早くことは起こっていたに違いない。


「それで、ここからどうやって探すのよ」


「どうやってだろうね」


ありえないほど濁りきった池を見ながら考えるものの、どうやっても池の中を全部さらうか水を全部抜かなければこの中から鞄を見つけるのは不可能に近い。

そもそもこの池どれくらい深さがあるかもわからないし何が潜んでるかわからないから下手に入るわけにも行けない。


「呼んでみるのは?」


「呼んでみる?」


早川の突拍子のない提案に疑問符を浮かべる。

呼ぶって何を?


「ほら、あんたたまに動物とかに絡まれたりするじゃない。あんな感じで呼んだら何か来てくれたりしない?」


「いや、そんな都合がいい話・・・」


「いいからやってみなさいよ」


「期待しないでね? おーい誰かいる?」


そんな馬鹿なと思いつつ池に向かって呼び掛けてみると、ザバァと音を立て水面に鰐が顔を出した。

そう、それっぽく見えるものでもなく、本物のワニ。


「「・・・」」


あれ、これ本格的に行けるのでは? そう思い鞄を見なかったか聞いてみると一度池の中に戻っていきしばらくすると陸地まで上がってきて大口を開ける。そこには俺の学校用鞄が入っていた。


わーおメルヘンファンタジー・・・

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