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モップイル?

雨音?

今日はどんよりとした薄暗い雲が空を覆っている。天気予報は普段から確認していないからわからないけれど降りそうで降らない何ともすっきりしない天気だった。

とうとう雨が降り出しのか、そう思い窓の外を見るがコンクリートには雨粒の跡はなく雨特有の匂いもしない。

よくよく聞くと雨というよりも雨漏りに近いようなどこかからか水が徐々に漏れ出しているような音だった。


少し話が変わるが、大概の学校の鞄は撥水加工か防水の物が用いられている。当然うちの学校の鞄も撥水加工が施されている。雨が降った場合や泥はねとか何かこぼした時は重宝する。

で、この撥水加工がされている鞄だけれど外から水を通しにくいから当然中からも出にくいわけだ。ただ完全防水じゃないわけだから、当然浸水すると漏れてきてしまう。

この水音も多分ペットボトルのふたが閉まっていない状態で鞄の中にしまい込んだのだろう。

漏れるほどの量になると教科書とかは当然無事なわけがない。ご愁傷さまです。


水音はだんだんと早くなっていき、それがそこまで遠くないことを考えると、こっちの足元まで侵食してくる可能性もある。

お茶や水ならいいけれど乳製品系がは乾いたら匂いがすごいからやだな。そんなことを考えながらノートをとっていると・・・。


「――さん、大丈夫?」


そんな心配するような声が聞こえ視線を向ける。

そこで髪の長い女子が「大丈夫」と返事しながら何度も何度も汗をぬぐっている姿が目に移った。

春も中盤を過ぎ、さらに暖かくなってきたなとは思うがまだ五月の序盤。まだ春まっさかさりで特に暑いとはいえるような気温ではない。

それなのにぽたぽた、ぽたぽたと頬を伝って雫が垂れていき、せっかく書いたノートが少しづつ滲んでいき、制服までも水分を含み始めている。


「おい、立花。大丈夫か?」


流石に様子がおかしいと思ったのか田島先生が心配そうに駆け寄っていく。


「体調が悪いなら保健室まで連れてくぞ」


そこで連れてってもらえじゃなくて本気で心配して付き添おうとする当たりイケメン的なポイントだと思う。

しかしそんな言葉に対して先ほどと同じように「大丈夫です」と答える。

ただ、誰がどう見てもおかしいと思えるその姿に無理をしているのではないかと先生も眉を顰める。


「暑いなら扇風機くらいつけてもいいが」


その言葉を聞いて扇風機に近い男子が嫌そうな顔をする。

流石にこの時期に防寒用の羽織る物を持ってきている生徒はいないから当然だ。そういう自分も寒い中授業を受けるのはごめんこうむりたい。


「いえ、むしろ冷たくて・・・」


冷たい? 寒いならまだ体調不良で寒気がしてるんだなと思うけれど冷たいってどういうことだ?

そう先生と話しているうちにどんどんと汗の量が増えていき手ではぬぐえない量になっていき、制服を濡らしていく。

それどころか初めは水滴だけだった量の汗がどんどんと量が増えていき、雨でも浴びているかのように大量に流れていく。


「い・・・や、なに・・・これ!」


立花と呼ばれた生徒は立ち上がろうとしてふらつく。

濡れた髪の毛と大量の汗のせいで前がうまく見えていないみたいだ。


「立花!」


先生は自分が濡れるのに何のためらいもなく倒れそうになっている彼女を支えた。

とうとうびちゃびちゃと音を立てて床に水たまりを作っていく。

こんな量の汗を人間がかけるはずがない。これじゃあまるでホースか何かで水をかけられているようで・・・。


「あ!」


そういう事か!

俺は席を立ちあがると周りの目を気にせず、彼女に駆け寄り片腕をハンカチでぬぐう。

予想通り彼女の腕からは全く汗ばむことはなく、乾いたままだった。

間違いない。鞄を盗んだのは彼女だ。



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