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ナレッテコワイネ

そして今に至る

「きゃぁーーー!!」


突然悲鳴を上げ先ほどまでへたり込んでいた鹿島さんが逃げ出す。

彼女がさっきまでへたり込んでいた場所は濡れており、つんとする異臭を放っていた。


うん? ちょっと人形の部品を持っていないか訊ねてみただけなんだけどな。えっと・・・そかい? そくけえ? ともかくこっくりさんが示した部品の名前がうまく思い出せなくて流石に股間部分っていうのもセクハラっぽかったから指で指示しただけなんだけれどこれもさすがにまずかったか?

それにしてもセクハラされたという反応よりも何かおびえていたような・・・あ、初めのほうの「昨日はよくもやってくれたな」って脅しのほうが効いてたとか?


「ぬぅ?」


「よぉ勇太、おはよう。また車にでも引かれたのか?」


そう言って先ほどの鹿島さんとのやり取りがなかったかのように挨拶をしてくる翔君。なぜかすごくいい笑顔だ。


「翔君おはよう。いやーほんとこの辺り物騒だよね」


ほんとこの町はかなり物騒だと思う。入学初日の大型トラックをはじめとして車に引かれるのはこれで4度目。それも初日以外は全部ひき逃げ事故だ。しかも全部違う車だからこの町の治安の悪さは少し異常だと思う。

すでに三回も制服がぼろぼろな状況で学校に登校してきたせいなのか、クラスメイト達も一瞥するだけで「またか」と思って普段通りの会話に戻ってしまうくらいだ。なれってこわいね。


と、それよりも。

机の上に置かれている荷物に目を向ける。

鹿島さんの学生鞄。人形の部品は持ち主から一定以上離れるといつの間にか鞄の中に現れたりする。

もしかするともう彼女のもとに移動しているかもしれないけれど、まだ残ってるかもしれない。

人の物を勝手にあさるのもどうなんだと思うかもしれないが、あの状態の彼女から話を聞けるかもわからないし、勝手に物色させてもらおう。

そう思って鞄を開けると目的のものはすぐに見つかった。

うん、ほんとすごくわかりやすかった。だって鞄の中に他に何も入ってないんだもん。

教科書どころか筆記用具も入っていないのってどういうこと? 学校に何しに来てんの?


「なぁ、勇太」


「ん、なに?」


ふいに翔に声をかけられる。取り出したこれが何か気になるんだろうか?

そうおもったが、


「お前、頭大丈夫か?」


どういう事じゃごら!


いや、よくよく考えたらクラスに着た瞬間女子にセクハラかました挙句鞄を勝手に開けて中身を物色しようとしている。普通に頭おかしい行動だわ。


「あー・・・気にしないで」


「いや、そうもいかないだろ。床すごい事になってるし」


床? ああ、そういえば鹿島さんが漏らした部分まだ放置しっぱなしだったな。


「大丈夫大丈夫、あとでちゃんと掃除しとくから」


「いや、それよりもまずは原因のほうをだな」


原因? 確かに、鹿島さんに対してひどいセクハラしちゃったからしっかりとお詫びに行かないといけないな。昨日刺されかけたけど、これでおあいこというわけにはいかないか。


「あー・・・ちゃんと後で行くからまずこっちの片づけを」


「本当にか?」


そんなに薄情に見える? 


「あんたらコントでもやってるの?」


後ろから早川が声をかけてくる。


「「何のこと(だ)?」」


「はぁ・・・」


盛大にため息をはかれた。いったい何のこと?


「あんたらさっきから何のことで話してるのよ」


「鹿島さんのことでしょ?」「頭のケガのことだろ?」


「「ん?」」


「なんでそこまで息ぴったりなのよ」


あっれーまったく話し合ってなかった? というか怪我?

額を触ってみるとべったりと赤い液体が手についた。


「血出てるじゃん。早く言ってよ」


特に早川、お前に関しては今日一緒に登校してきたよね?


「それくらいじゃ死ねないでしょあんた。」


まぁそうなんだけれど、というかすぐにいつもは治ってるのになんで今日は治ってないんだ?

教室の入り口のほうを見ると足跡のように血痕が続いている。どおりで通りすがる人全員が二度見するわけだ。

まぁ、しばらくしたら何事もなかったように治ってるだろ。


「勇太、保健室に行くぞ」


「大丈夫大丈夫、どうせしばらくしたら治るから」


「そんなわけあるか」


えー本当なのに。


「ほら、行くぞ」


「ふぇ?」


ひょいっと音が鳴りそうな雰囲気で体を持ち上げられて抱えられる。

って、ちょっと待ってこれお姫様抱っこじゃない!? 周りの男子から「おおー!」と歓声が上がり、一部女子から

鋭い視線を感じる!


おい男子ども盛り上がるな! 腐女子も歓声上げるな! そして一部の女子からのい殺さんばかりの視線が怖い!  


「いや、降ろせ!」


「い、や☆」


なんだ最後の星は!


「掃除はこっちでしとくからごゆっくり~」


「ああ、ありがとう早川さん」


「ごゆっくりーじゃない! マジで降ろせ、いや降ろしてください!」


「逃げるかもしれないからダメだ」


そう言って廊下のほうに歩いていく翔君。

いや、マジでこのまま行く気!? そんな公開処刑とかマジで勘弁なんだが!?


いやー! 誰か止めてー!


15話を入れ忘れていたことを今更気が付く。

1年位前の分じゃんいやだ・・・


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