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リュウグウ ガエリノ

突然粒子となって消えていった足曾木婆とその娘らしい何かが消滅すると、普段の日常の風景が戻る。


「いや、本当に戻ったのか?」


普段この町引っ越してからわかったんだけどあまりにも物騒すぎるせいか夜にはほとんど人が出歩かず、車もほとんど見ない。

そのうえ何故か娘?が乗っていた車椅子がそのまま鎮座しているのだ。そのせいでちゃんと現実世界に戻れたかどうか・・・。


「きゃぁーーー!!」


「「「・・・」」」


遠くでだれかわからない女性の悲鳴が聞こえた。

うん、現実に戻ってきたようだ。

慣れてはしまったがこの町ではよくある光景で、流石に何があったのか様子を見に行くような正義感が強いようなメンバーはここにはいない。下手すれば自分たちも巻き添えになる。

それにすでに遠くからパトカーが走る音が聞こえ始めているので、何かがこっちに逃げてこないことを祈るばかりだ。


それにしてもさっきの足曾木婆は完全に成仏したのだろうか?

そう思ってもう一度ゴミ箱を開けてみるが中には透明なごみ袋に入ったごみが捨てられているだけだった。


「あんた、よくあんな目にあったのに平然と開けれるわね」


・・・言われてみたらそうだ。いくら対策方法が分かったからと言ってさっき足奪われたばかりなのに少し緊張感は持ったほうがいいかもしれない。


最後に娘さん?から受け取ったものを確認してみる。

受け取ったものは三枚の金色のコインだった。

悪いけど本物の金でできているものなのかメッキなのか真鍮なのか判断できるような技能はないから大した価値はわからない。でも、大きさ的に直径30mm位いあるから通貨にしてはかなり大きい気がする。


「ふーん、これが最後に受け取ったやつ?」


そう言って横から金貨を一枚かっさらうとまじまじと見つめたり弾いてみたりかじったりしてみる。

おい、金メダルじゃないんだぞ。あとそれ俺がもらったやつなんだが?


「呪とか祝福みたいなものはなし、質量と強度も問題ない・・・純金の金貨みたいね」


「なんでわかるの?」


「叔母に教えてもらった」


「お前マジで何者だよ」


「普通の女子高生よ」


「「嘘つけ!?」」


歯ごたえと重量だけで純金か判断できるように教育され、謎の戦闘技能と装備と言い十分あんたもオカルトだわ。まぁ、異能力者の俺が言うのもなんだけど。


「そういうあんたこそ何者よ」


そう言われて、話してもいいものかと少し悩む。

異能力者だなんて言ったところで果たして信じてもらえることなのだろうか? そう思いながら最近のことを振り返ってみる。


ニュースに乗る他県で発生している異常な犯罪を起こす高校生たち、不可解に起こる未解決と迷宮入りが多い愉快犯たちによる殺人事件、突如現れた都市伝説とそれになぞらえた怪異ども、銃と刃物を持ち歩き平然と普通と言い張る女子高生・・・。


「今更か」


普通に考えてもう完全に非日常ばかりが日常になってる。その中で異能力者とか特に問題はないだろう。

それに宮崎にはもうはやしたことだしな。


「俺は・・・」


そう言いかけたところで突然携帯に着信が入る。

・・・まるで邪魔するみたいにいいタイミングで入ってくるな。そう思って携帯を確認すると着信先は先輩だった。


「はいもしもし?」


「ああ、やっとつながった」


やっとつながった? 特に不在着信とかはなかったはずだし、足曾木婆の空間にいたのもそんなに時間はたっていないはずだが・・・。まさか!


そう思いコンビニの窓から時計を覗くと深夜1時を過ぎていた。



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