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ヒトツノコタエ

なんとか管狐は謝って許してもらえたみたいでマフラーのように首に巻き付いている。正直言ってかなり熱い。

何のためらいもなく売ったことに関してはまぁおいておいてほしい。別に友達でもペットでもないし夕方ごろにあった程度の間柄なんだ。

そもそもこいつが挑発しなかったら銃口を向けられる心配もなかったし、射線上にいなければこんなことしなかった。

それにしても狐のかば焼きか・・・。


「狐に食って実際どんな味するんだろう」


その言葉を聞いてびくりと震えた気がした。冗談、冗談だって。さすがに怪異だか妖怪だかわからないこいつを食べるようなことはしないよ。


「さて・・・」


改めて足曾木婆を見据える。

さっきから完全に無視していたわけだが、律儀と言っていいのかはたまたそういうプログラムのようなルーチンが組まれているのか先ほどから微動だにしていない。

これ、うまく利用すればこの空間内に一生居座れるんじゃないか?


「アシハイランカネ?」


「で、あれどうすんのあれ」


「まぁ、何とかするしかないよな」


実のところあれの対処方法はある程度予想がついていたりする。

噂を内容を信じるならばあれが探しているのは車椅子に乗ってる誰かの足なわけなのだ。ならば・・・。


「この足要らないので差し上げます」


「・・・」


俺は、威嚇し続ける管狐をなだめつつ老婆に要らなくなった片足を差し出す。

実際のところあれが探しているのは車椅子に乗っているだれかの失くしてしまった足そのものではなく、代わりになるような足だ。

なら、あらかじめ用意しておいた足を渡せばこれを回避できるんじゃないか?

まぁ、誰か人間の足をあらかじめ用意しておけとかふつう無理な気がするんだけど、正直足曾木婆は足の見分けがついていないんじゃないかと思ったりする。

例えばマネキンの足とか、極論動物の足を渡してもいけるかもしれない。


じゃあなんで「いる」と答えたら足を無理やり追加されるのか。

多分親切心じゃない? ほら、車椅子の誰かみたいに足が新しく必要かって聞いてただけっぽいし。

それで、死んだのは足をくっつけたとき血管がつながったりして多分血液の相性とかそういう話なんじゃない?(適当)


「アリガトネ」


足曾木婆は足を受け取ると何かを代わりにというべきか何かを握られ、そのまま二人の元に戻る。


「何渡されたの?」


「これ」


受け取ったものを見せると早川は少し納得がいかないような顔をする。

握らされたのは人形の片足だった。どうやら正解を引いたらしい。


「・・・これ、みゃーちゃんが撃たなければ解決してた?」


「どういうこと? えっと・・・」


タイトルはこうで、お?検索引っかかった。プロローグも同じだからここからきっと読めるはず。

携帯で「足曾木婆ーsid宮崎、早川ー1~12」確認中…


「早川お前、先制攻撃してどうすんだ・・・」


「「まって、携帯で何検索してたの!?」」


「何って俺がいなかった35~46部分までを検索しただけだが?」


「「いや、だからどういうこと!?」」


いやー世の中怖いね、まさか検索したら出てきちゃったよ。これで過去のこともみほうだ・・・【不正なアクセスを検知しました。リセットと修正を行います。】


・・・

・・


足曾木婆は足を受け取ると何かを代わりにというべきか何かを握られ、そのまま二人の元に戻る。


「何渡されたの?」


「・・・」


流石に次元を超えることは許されなかったよ・・・。

さっきみたいに携帯で検索してみたけど、もうヒットしないか。残念。

まぁだいたいのことは把握できたからいいか。


改めて渡された人形の足を見せる。


「・・・これ、みゃーちゃんが撃たなければ解決してた?」


「そうだぞ早川、いくら怨霊だって勘違いしたからっていきなり銃ぶっ放すとかどうかしてるぞ」


「仕方ないじゃない、こっちにも事情が・・・待って何で知ってるのよ?」


「今度から無意味にぶっ放すなよ」


「反省はするわ。どちらにしろあの時対策できる手段がなかったのよ。それで・・・」


「あと、こいつらうちの学校の都市伝説から派生しているみたいだから、そっちの勉強もしときなよ」


「あ、それはいくつか聞かされてたから、私わかるかも」


へぇ、それは意外。と言っても俺らとちがってけっこう友達いるみたいだからそういう噂好きもいるのだろう。





「ソロッタ」


「「「え?」」」


背後から声が聞こえ思わず全員の声がはもる。

振り返った先には足曾木婆が車椅子の誰かに先ほど渡した足を取り付けて・・・いや、あっちは俺が渡した足とは別のほうの足だ。地面に落ちる別の足から予想されるのは、先ほど俺から奪ったもう片方の足だろう。


「アリガトう、ありがとう」


足曾木婆はこちらを向き直ると涙を流しながらこちらに何度もお礼を言ってくる。

その雰囲気も背中を走るような寒気はどんどんとなくなり、声も心なしか普通の老婆のような声になっていっているような気がした。

隣の車椅子に座っていた人物が立ち上がる。


「え・・・」


彼女はこちらにやってくると何かを差し出してくる。顔を隠していたベールの下が見えたが、そこには優しげに笑う女性の顔があり、「ありがとう」そうつぶやいたように見えた。

俺がそれを受け取ると、女性は老婆の元へ戻り手をつなぐと二人は光の粒子となって消えていったのだ。



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