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足曾木婆ーsid宮崎—8

「ねぇ、こんな噂知ってる?」


ある日の放課後、暇な 友達(だれか)と近くのチキンショップで集まりだべっているときの話だ。

噂好きな女子から怪談話を語りだした。

彼女が話す事はいつも根も葉もないあからさま(嘘まみれ)な話ばかりで誰も信じるようなことはなく皆聞き流すかそもそも興味もなく話をさせないという事ばかり。


とはいえ、その時はみんな話題もなくなってきたことと、幽霊が怖いと言うような友達(だれか)はいなかったので、暇つぶしにでもなればいいかと久しぶりに噂好きの言葉に耳を貸した。


「これは友達から聞いた話なのだけれど・・・」



これは友人の学校のクラスメイトの話。

彼女はコンビニで夜勤バイトをしていた。

特に家が貧しかったり、部活をしていて時間に余裕がなかった訳でもなく、ただ給料の高さと夜間という客の接待回数が少ないからと浅い理由でやってたんだって。


それである夜彼女がゴミ捨てに行った時のこと。

普段カギがかけている場所にゴミ箱用の鍵がなかったらしい。

パソコン近くとか着替え室の全員の制服やロッカーを調べたのだけれど一向に鍵が見つからずその時は誰かが持って帰ったのかなと思ったらしい。


とはいえいっぱいになったゴミ袋を事務室に放置しておくわけにもいかなかったから、ゴミ箱の鍵を壊すことにしたらしいの。

幸い百均とかで売っているような安物の南京錠で、事務所に置いてあった自転車のチェーンを切るあれで簡単に壊せたらしいの。

でもね、ゴミ箱を開けたら、その中になんと・・・


二人の女性の死体が捨てられていたの


その女性の死体はあまりにも無残な状態で、ひどい匂いがしたらしい。

それで、警察に電話しようとしたんだけれど、何故か全くつながらなかったらしい。

それでね、ふとゴミ箱のほうを見るとなんと死体がなくなってたんだって。


夜遅いし夢でも見たんじゃないかって思ってコンビニに戻ろうとしたときこんな声が聞こえたの。


「アシハイランカネ」って。


その声の方向を見ると車椅子を押すおばあさんがいたらしい。


そのおばあさんは一見普通のおばあさんなんだけれど、車いすに乗っていたのは黒い服を着た女性で、何故か片足が無かったんだって。


どうしたんだろうと悩んでいたらおばあさんがまた「アシハイランカネ」って言ってようやく「足は要らんかね?」と聞いてきていることが分かったらしいの。


と言っても「足が欲しいか」って普通聞かれるようなことじゃないし、移動手段が欲しいのか聞かれてるんじゃないかと思ったらしいの。


当然バイト中だし、どこかに急いでいくわけでもないからその子は当然「いらない」そう答えたらしいのだけれど、そしたらおばあさんが・・・


「ジャア、ソノアシモラッテイクネ」


そう言って彼女の足を引きちぎってしまったらしい。

そして片足のない女性のなくなった足にかざすと「アワナイ」そう言って車椅子を押してどこかに消えていったらしいの。



私はそんな噂があるんだ程度に聞いていると友達(だれか)が疑問を口にした。


「ねぇ、なんでそんなうわさが広がってるの? その時ってコンビニに一人しかいなかったのよね?」


「さぁ?それも含めて不思議な話でしょ?」


そう言ってからからと笑う噂好き。

その女性、足がとられただけで死んでないのでは? そう思ったのだが、話はここで終わりじゃなかった。


「それでさぁ、この話には続きがあってね?」


それの数日後の話なんだけど、別の夜勤バイトの子がバイトをしていたの。

その子もね、ゴミ箱の鍵が見つからずに鍵を壊すと中に死体が入っていたらしくて、慌てて警察に連絡したらしいの。

でも、やっぱい電話がつながらなかったらしくて。振り返ると車椅子を押す老婆がいたの。


で、「アシハイランカネ」と聞かれたらしいのだけれど、彼女は何を思ったのか「欲しい」って答えたらしいの。

そしたらね?


「コレヤル」


そう言って無理やり誰かの足をくっつけられたらしいの



「どう?」


「どうって言われても・・・」


別にその話が怖いとも思わなかった。あまりにも矛盾していて現実味がないっていうか・・・

と、そこで友達(だれか)の一人が口を開く。


「それってさ、昔あった『三本足の死体』が元ネタ?」


「多分そう」


三本足の死体とは何か、スマホで調べてみるとすぐにヒットした。

どうやらこのA市で起こった未解決事件の一つらしい。

その死体は何故か足が三本あったらしく、無理やり縫い付けた後などもなかったそうだ。まるで足が突然生えてきたかのように。

そしてその足の遺伝子を確認したところ、同じコンビニで足を失くした別の女性の遺伝子と見事一致したらしい。


その時、「そんな不思議なことがあるんだな」程度しか思っていなかった。



何か困ったときに一番にあこがれの先輩ではなく友達に相談しなかった。

そこまで気を許せるわけでもなく真剣な話もできずただ集まるだけの「誰か」でしかない

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