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足曾木婆ーsid早川ー6

その肉塊はかつて人であったであろう物。

一体どれだけ放置されていたのだろうか、複数の蠅がたかり、大量の蛆がうごめき、どろどろに肉が腐っている。


「うぷっ」


一般の高校生がこんなものに慣れているはずはなく、それが何か理解してしまったのか、宮崎さんは背後でビチャビチャと音を立て胃の中の物をまき散らしてしまう。


中に人形の部品がないか目視で確認するついでに「それ」についても確かめていく。

腐敗具合からだいたい3~5日程度、二人の死体が無理やり押し込まれた感じ。

状態的に二人とも年齢は推測はできないが、片方が白髪でもう片方が黒髪なのを見ると二人の年の差は大きい。

服装からして両方女性、片方は老婆だということが予想できる。

一見して人形の部品は見つからないため、少しもったいないと思いつつも手袋を鞄から出してはめると直接触って確かめる。


人形の部品は見つからなかったものの、だいたいの死因についての見当はついた。

まず、体に刺し傷はなく、口を刃物で切られて広げられた後もない、そして首元にも穴が開いていないので、噂になっている捕まっていない通り魔達の仕業ではないこと。

そもそもあの通り魔達はまるで自分を見つけてほしいのか死体を隠そうとはしない。

触ってみて複数個所に骨折が見られたためこれが原因だろう。

頭蓋骨の陥没はないが複数個所の骨折、服にタイヤ痕とひしゃげた部分があるのを見る限り交通事故だとわかる。

このゴミ箱のカギが閉められていたことを考えると犯人はコンビニの関係者だろうか?


とまぁ、ここまで推測したものの私は特に探偵でも医者の関係者でもない。原因不明の不審死ではない以上私には何もできないのであとは警察に任せるだけだ。


ただ、少し気になったのは黒髪のほうの片足がなくなっていたことだ。

犯人が持ち去ったのかと考えたが、さすがに異常性癖者でもない限りそんなことをしないだろう。

そこでこっくりさんのメモに書かれていたコンビニに隠されているものについて思い出す。


「『人形の右足』・・・」


いや、まさかね。


一旦ゴミ箱を閉めると手袋を脱ぎ捨てると、まだ嗚咽が止まらない宮崎さんの介抱へと向かう。

今のご時世人間死体を見るのはそういう仕事をしている人間でもない限り見る機会なんてあるはずがない。しかもあんな状況になるまで放置されること自体が稀なんだ。


「大丈夫?」


「む・・・り・・・」


うん、知ってた。顔を見る限り吐しゃ物で口の周りを汚し、胃の中の物がなくなってもまだはこうとしている。

とりあえず近場にあった水道から水を出し、捨てそびれた空き缶に水を入れて飲ませる。

一応緊急事態だ。蛇口の無断使用やバルブが付いていないのを適当な金具で無理やりこじ開けたのは大目に見てもらおう。

推理小説じゃないから深くは触れない。


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