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イノウバトルハハジマラナイ

「40点」


先輩こと 宮北みやきた 優子ゆうこは原稿用紙から顔をあげると厳しい点数を言い渡してくる。まぁ当然と言えば当然ではあるが、かなりいい点数だと思う。


入学からはや一か月。異能力者集団が現れ、毎日のように襲撃があるが何もない風に装って私生活を行う・・・なんてことはなく、ただ非凡な生活を送っている。

しかし、日常はかなりおかしな方向に向かってるみたいだ。隣に置いてある新聞に目を向けると、別の町で犯人不明の強盗事件が行われたことが書かれている。内容的に言うと、昨日コンビニ強盗が行われた。その強盗犯は顔を隠すことも手袋もしていなかった。しかし、誰もその人物の顔を覚えておらず、背丈、髪型、服装すべて思い出せなかったらしい。さらに防犯カメラで確認しようにもその人物を見つけることができなかったという。

高校生がパトカーを投げてつかまったり、人を焼き殺してしまい警察に自首した少年(特定したネット住民がいたが、いじめによるわいせつ動画が大量に見つかり逆に同情された)がいたり、など不可解な事件が多い。

多分異能力者はいるんじゃないかという裏付けにはなっている。


で、肝心な俺の能力はというと結論を言うとまだ完全にはわからない。 ただ、ギャグみたいなことがまわりに起こるようになったのだ。

例えば入学初日のような人間ピンボールでの学校登校。 野球をやったらバトンに当たったボールが地面でバウンドして股間にヒット。 入院した病院で筋肉と脂肪などの中身丸出しのような謎生物と接触したり、車いすで爆走する子供にはねられたりとまぁいろいろとあった。


ちなみに今は部活中で、今日から正式入部になるということで顔を出したわけだが、何故か作文用紙一枚分の短編を書くよう先輩に言われたのだ。


「まず、ダメなところとしては蛇足があまりにも多すぎるところだ。コンビニチキンに関する意見など読者は求めていない。次に、主人公が携帯派かスマホかなんてのもどうでもいい。それにはじめ公衆電話から電話がかかってきているのにどうやって移動しているのだ。それと、最後のキス。なんだこれは下心丸出しすぎるだろ」


うむ、思った以上に多いダメ出し。2時間で一作品仕上げろというのは初心者にはなかなか骨の折れる作業だと思う。しかし、そもそものこと言わせてもらおう。


「なんでオカルト研究部に来て小説書かにゃならんのですか」


そう、ここは文芸部ではなくオカルト研究会なのだ。誰がいきなり小説書かされると思うか。


「うちの部の伝統でね。うちの部の功績はオカルト分野の小説の賞を取ることで部と認めさしてるという面もある」


そういうと天井近くで飾られている表彰状を指さす。ホラー小説優秀賞、特別賞、別の時期の最優秀賞、ライトノベル銀賞・・・いやもう文芸部やれよ。


そう思っていると丸められた紙が頭に当たる。どうやらノールックでごみを捨てようとした結果俺に当たったようだ。


「俺が書けなくったってそっちに優秀そうなやつがもう一人いるじゃないですか」


そういいながらちらりと目線を向けるとそこには隣人メガネっ子こと 早川(はやかわ) (みやこ)が文章を書き直している。


「いや、あっちは君よりもひどい・・・わけでもないが、なぜかパッとしないんだ」


「ちなみに点数は?」


「10点」


「まじかー・・・」


メガネっ子だから賢いと思ったけどそうでもないのか? そう思いさっき飛んできた原稿用紙を広げると・・・


「えっと・・・なんというか普通?」


そう、普通なのだ。題材としては口裂け女の話で、俺のやつみたいにふざけた感じではないちゃんとしたホラーなのだが、あまりにもどこかで見たような内容で先の展開が普通によめてしまう。


「仕方ないじゃない! 私小説なんて書くの初めてなんだから!」


そういって机を強く叩いて立ち上がる。その拍子にスカートのホックが引っ掛かって外れ、盛大にスカートが脱げる。それに気が付きみるみると顔が赤くなっていく早川。

いや、いつのエロコメ漫画だよ。


「あー・・・」


「ふむ、白、それも飾り付けがほとんどないが、ラインが出るタイプのやつか」


いや、解説せんでいいから。という過去の流れって確実に・・・


「きゃーーーー!!」


「ぐほ!?」


「ふが!?」


思いっきりパンチが来た。ただし、俺だけではなく女である先輩にまで。


「なんでわたしまでなのかね!?」


「当たり前です!何人の下着について解説してるんですか!」


というか今のって完全に自爆じゃん殴られるの理不尽すぎじゃね?

せっせとスカートをはき直す早川その間俺はよそ向いとく。


とその時だった。ガチャリとドアが開きイケメン眼鏡が入ってきた。


「失礼します。宮島くんちょっといいか・・・」


たぶん目に入ったのはスカートはきかけの早川。いや、ノックくらいしろよ。


「きゃーー!!」


「あだ!?」


ポコーンとこ気味のいい音をたて何故か俺の後頭部にペットボトルが直撃した。いや、ほんとになんで!?



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