足曾木婆ーsid早川ー3
聞いたことがある。いや、むしろ知らない人がいないはずがない定型文ともいえる今の電話は間違いなく怪談話に出てくるメリーさんそのものであった。
「ねぇ、宮崎さん」
「嘘よ、嘘よ、嘘よ。これあいつの仕業じゃなかったの? 先輩たちとグルの仕返しじゃなかったの? ありえない、全部あいつの仕込みじゃないの?」
「宮崎さん」
「じゃあなんで私が? あいつが呪った? もしかしてほんとに死ぬの? いや、いや、いや」
「宮崎!」
「はひ!」
私は思わずスカートの下から銃を引き出すと空に向かって発砲した。それに驚いたのか裏返った声で返事をする。
「はなし、聞かせようか?」
「え? え?」
「いいよね?」
「は、はい!」
宮崎の話を聞くと、どうやら今までの騒動はすべて四方山が仕組んだ盛大な仕返しだと思っていたらしい。
というのも、メリーさんの位置があまりにも遠い場所からスタートしていた挙句、人形を捨てた覚えはあったもののそれは一月以上前のことで、あまりにも日が立ちすぎていたらしい。
頭の部品に関しては、初め鞄の中に入っていて、当然教室で鞄から離れることもあったし、オカルト研究部に置いて帰ろうとした時だって、こっそりと鞄の中に入れることができる隙は十分にあった。
こっくりさんに関してはこっくりさんをしている間、席を立てないのを利用して映像を映し出しているだけ、だと思っていた。その証拠に四方山と宮北先輩だけ全く驚いた様子を見せなかったからきっと口裏合わせていたんだ。
だからこれは全部自分を怖がらせようとする仕返しなのかと思った。これを口実に四方山にばっかかまう神崎先輩に近づく口実にするはずだったそうだ。
「ねぇ、言っていい?」
「・・・なによ」
「・・・うん、あまりにも現実離れしすぎてるし、あの二人があまりにも落ち着きすぎているからそう思ってしまうのは仕方ない。付き合いはまだ短いけど、あの二人は頭のねじが飛んでいるのがよくわかるもの」
「・・・」
「でも、あいつは他人を害するような奴じゃない。それだけは断言できるわ」
「そんなの分からないじゃない」
まぁ、確かにそうね。知り合って一か月程度しかたっていないような仲だから実は私のように何か隠しているのかもしれないけれど・・・
「無意識にイケメンども魅了できるような男が悪い奴なわけないじゃない」
「・・・それ、普通に悪い奴じゃない?」
うん、ジト目でみられてるだけだけど、言いたいことはわかる。
無意識に他人に愛嬌振りまいて魅了してそれなのに相手に恋愛的興味がないとか完全に悪女のような奴でしかない。でもそれってさ。
「それって異性同士だったらって前提の話じゃない?」
「あ」
あ、ってなんだ。まさか相つが異性だって忘れていたわけじゃないでしょうね。まぁ、顔はすごく女子っぽいけど!私よりかわいい顔してるけど!
「同性だったら単にいい奴でもなければ絶対周りのやつひきつけたりしないでしょ」
どれもその場で考えた付け焼刃の理論でしかないけど、あいつが悪い奴ではないのは確かだ。それに、どんな理由であれ、最後までしっかりと手伝ってくれると信じている。
「先輩独り占めしてとか、復讐だとか思って勝手にから回ってただけか・・・」
そういって落ち込んでしまう宮崎。でも、さっきの話のおかげか、メリーさんからの恐怖を忘れているみたいだ。
「ねぇ、早川さん」
「なに?」
「私、もう手伝ってもらうのやめにしようと思う」
その言葉に「え」と言葉を漏らしてしまったのは悪くないと思っている。突然何言いだすんだこの人?
「だってこれ私のせいで危険な目に合わせるかもしれないじゃんだから「ストーップ!」
さすがにこれは自分勝手かもしれないが、それでも勝手に解散させるような流れにはしたくはなかった。
「なんでいきなりそんなこと言うのよ」
「いや、だって。これ勝手に私の思い込みでみんな巻き込んだわけだよね?さすがに危ない目に合わせるわけには・・・」
「ここまで付き合わせておいて今更何なのよ。怖い?危険?そんなの上等よ。だって私たちオカルト研究部よ! 危ない建物にだって飛び込んでまで謎を探すのが私たち。そんなっくらいどうってことないわ。それにね・・・」
一瞬ためらったが、啖呵を切るように言葉を吐き出す。
「私、ヒーローじゃないけど人を助ける仕事をしているの困ってる人を放置なんてできるわけないじゃない。だからはい」
そう言って手を突き出すと、少しだけ交互に顔と手を見ると・・・
「よろしくお願いします?」
「ええ、これからよろしくね」
こうして、私も宮崎さんも本気でこのメリーさんをどうにかするために動き出すのであった。
その意思をくみ取ってくれたのかもぞもぞと管狐が目を覚まし、再び探索が開始されるのであった。
早川、テンション上がりすぎていろいろとごり押してます。
銃とかまだ協力する理由とか。




