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赤い傘ーsid松町ー1

視点変わります

私の名前は松町 貞夫、ここA市の伏木高校の英語教師を担当している。よく体育教師と勘違いされるが、運動神経はともかく、体育の知識に関してはからっきしだ。

最近はひょんなことから教師と兼任してちょっとした慈善事業を行っているのだが、それは今は置いておこう。


さて、こんな私なのだが今、私が顧問をしているオカルト研究部の部長であり、教え子でもある宮北優子と待ち合わせのためフライドチキンショップで待機をしているわけなのだ。

机の上では相棒(?)のリスのような小動物が自分よりも大きいはちみつをかけたスコーンをちぎっては頬張っているのをフライドチキンをかじりながら眺めている。

やはり小動物が物を食べている光景はすごく愛らしい。動画を見て癒されているという話を生物学の教師に聞いていたが、なるほど、これは納得だ。


と、そんなことを考えていると宮北がやってきたようだ。仕事着の私とは違い、しっかりと着替えてきたようで茶色のシャツに黒いロングスカートと少しおしゃれしすぎなのではないかと思えるような服装だ。


「やぁ、まったかな?」


「ああ、少し早くつきすぎてな」


そういうと少し不満がありそうな顔をする。とはいえ、ここで「いや、今着いたばかりだ」とかっこつけるのもおかしな話だろう。


「つれないじゃないか。先生と私の仲だろう?」


「そういう反応は彼氏にでも求めてくれ」


宮北は少し残念そうな顔をすると私の向かいの席に座りコーヒーを飲む。いや、それ私のコーヒーなのだが…。


「ふむ、先生。スコーンを頼むとは顔に似合わずおしゃれなことをするね」


スコーンに目を向けるといつの間にかスコーンの半分とともに相棒が姿を消していた。どうやら早川に見つからないように膝の上に移動してかじっているようだ。あまりズボンを汚さないでほしいものだ。


「欲しいなら食え。あまり甘いのは好かん」


「じゃあなんで頼んだんだ…」


そう言いながら残りのスコーンをかじる早川。ここで少し気になっていたことを聞いてみることにする。


「それで、なんで一度解散したんだ?」


改めて彼女の姿を観察してみるが、特に大きな荷物を持っているわけでもなく、お守りのようなものを所持しているわけでもない。わざわざ解散する意味などあったのかと疑問に思う。


「おしゃれしに帰った」


「おい」


「はっはっは! 嘘に決まっているじゃないか先生」


話によると怪異というものが活動するのが一般的に夜だからだそうだ。その証拠に管狐に聞いても首をかしげるばかりで探そうともせず、四方山ものんびりと友人と話しながら下校していったという話だ。


いや、人形の部品を探しに行くだけじゃないのかいったい怪異とどういう関係が…。


「実は四方山後輩が怪異が部品を持っていたと証言したものでね。それにこっくりさんが指定した場所には「そういう噂」を耳に挟むものが多くてね」


「じゃあ、人形の部品を持ってる人物はどうなんだ?」


「さぁ?」


さぁ、っておまえ・・・。何かしっかりとした根拠があるから大丈夫だと宣言したんじゃなかったのか。


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