サイゴノアソビ③
A市のバスに乗りながら財布の中にある路銀を確かめる。
流石に4時間以上時間を稼ぐことはできないが、2時間程度の時間は稼げた。
幸いこのバスは病院を通ることを考えると異界に逃げ込められればこっちの勝ち確だ。
逃げ切るのに一番厄介なマッチョ先生は不参加。先輩は圭吾先輩に足止めを頼んでいる。早川は・・・部室で縛られているから放置でいいか。
圭吾先輩には足止めをしてくれるよう頼みはしたが、先輩があの蔵を調べるのはほぼ確定事項。敵になるか味方になるかも未知数な以上保険は取っておいて損はないと思う。
もしかしてと思っていたが、このメリーさんの人形もとい人形は全く別物の呪いの人形だった。
詳細については省くけれど、簡単に言うと「期間内に持っているとその部品に応じた部位を奪われる」という特大いわくつきの人形だ。
それを「人を呪えるメリーさんの人形です」という偽装文章を箱の上に置き、箱の隙間に本物の文章を隠しておくという飛んでもトラップで宮崎さんを嵌めたというわけだ。
で、せっかく本物の解説文を読んだのだが、これも最後の最後で罠。
『この文章を口にした場合、または最初に呪いを受けていたものが最後に持っていた場合、呪いの期間内に触れた全員が死ぬ』ととんでもないことが書かれていた。
いやぁ、直後に鏡の少女が背後に現れて笑っていたことを考えるとマジよりのマジ。とんでもないオチが来たわけだ。
そのうえ鬼ごっことかとんでもないこと言い始め、更に1時間ごとにこっちの居場所を報告するというなかなかの鬼畜っぷり。
正直あの文章を今日見つけてよかった。
下手に早い目に見つけてたら数日間の鬼ごっこを強要されているところだった。
まぁ、今も4時間の鬼ごっことかいうとんでもない物をやらされてるわけだけどもね。
うん? ところでなんでバスに乗ってるかって?
そりゃ逃げるために決まってるじゃないか。
バスに乗っていれば距離を稼げるし車にでも乗らない限り追いつけない。
それに追いついたとしても移動中のバスに乗り込む手段はない。次の駅で待ち伏せするのがせいぜいだし、定刻以外に降りれば場所も数か所から絞り込むことはできない。
ただ、路銀がそろそろ限界なためあと3駅まで。
最適なのは次の次にとまるあの病院がいいだろう。
来院の理由はまたあの子に会いに来たことにすればそれで通るだろうし、もし死階に逃げ込めなくても病院内で探し回ることは他の患者に迷惑になるから無理に強行できないはずだ。
さて、そろそろボタンを押して・・・。
そう考えていた矢先だった。
バス発揚衝撃と共に大きく揺れ、天井を突き破って何かが入ってきた。




