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幕間①―side宮北―

さて、私も鬼ごっこに参加するのはそれはそれで楽しそうではあるが、まだここでやることがある。


「君、ここからは別行動だ」


「え、手伝ってくれないんですか!?」


「別に手伝わないとは言わないさ。ただ、不可解なことが多い」


「不可解な事?」


「ああ。まだはっきりとは言えないが、その違和感を調べる為に私はここに残る。後から追いつくから先に追いかけてくれ」


「でも、一人だと・・・」


「なに、すぐに終わらせる予定だから急ぐといい」


「は、はい」


彼女が鳥居をくぐるのを確認すると、まず賽銭箱の方に向かう。

さて、邪魔者がいなくなった訳だしのんびりと探索でもしよう。

正直言うと彼女を追うつもりは全くない。

そもそも四方山後輩が彼女のカバンと私の持っていた最後の部品を持っていった時点で人形は完成したはずだ。だが、何も起きていない。

なら考えられるのはタイミングが悪いということ。

人形は今夜までとタイムリミットを決めていた。ならその時点で何かが起こると考えられる。


または、そもそもの前提が間違っていた可能性だ。



賽銭箱を確認するとひどく炭化しており、煤が天井まで届いている。

煙草を捨てただけではここまでひどいことにはならない。何らかの燃料になる何かを使ったはずだ。

なら、ここで何を燃やしたのか?


賽銭箱の後ろへ回ると中を開く。

まったく、南京錠すらもしていないだなんてあまりにも不要人すぎる。賽銭がほぼないとはいえ今回の様にいたずらをされる可能性もある。

簡単に壊されるとしてもあるとないとは別だ。


賽銭箱の中にあったのは紙の束。いや、これは誰かのノートのようだ。

それ以外にも教科書らしき燃え残りとプラスチックのような燃え残りなどもある。

ほとんど燃えてしまっているからわからなかったが、一部燃え残った背表紙の一部を読めた。


『山 勇』


・・・なるほど、これは四方山後輩のノートだな? 

確かよく物をなくすとか笑っていた気がする。宮崎が隠していたのはこのことか。


彼女はいじめのグループの一人。盗んでいたものをここに持ってきて処分をしたのだろう。

ただ、それに関係なく公共物を引火したとなればそれはれっきとした犯罪だ。

そもそも荷物を処分しようというなれば別に昨日の様に池やごみ箱に捨てればいいし、焚火にして燃やしてしまう方が手っ取り早いだろう。


となればこの賽銭箱を燃やした犯人に四方山後輩を仕立て上げようとした?


「いや、さすがにそれは飛躍しすぎか」


流石に妄想だけでそこまで決めつけるのはおかしいだろう。

だれが何のために火をつけたのかは知らないが、今回のこととは関係はない。次に行こう。



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