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ニゲヨウダナンテユルサナイ

賽銭箱に近づくと炭の匂いが鼻に付く。

参道からは見えなかったが、賽銭箱は焼け焦げ上部の格子部分は触れただけでボロボロに崩れる。

賽銭箱が焼け焦げたせいか天井も煤だらけになっていた。


「これは酷い」


こんな場所自然に焼けるはずない。

誰か煙草でも捨てたのだろうか? お札でも入っていればいい燃料になるだろう。

だが、火が燃え広がっていなくてよかった下手をすればこの神社が焼けていてもおかしくない。


「神主さんに連絡ってつきます?」


「どうでしょう? 付いてもすぐに対応は無理では?」


それもそうか入院中出し仕方ない。

となれば警察に連絡が妥当かな?


「あれ?」


携帯を見ると表示が圏外になっている。

山の中だからと言えばそうなのだけれど、ここそこまで高くは無いのでは?


「優太くん、あれ・・・」


圭吾先輩に言われるままそちらの方向を向くと蔵の方向に金髪の少女が立っていた。

あれはまさか・・・


「メアリー?」


蔵のほうに立っていたのはゴスロリ服の少女。間違いなくメアリーだ。

日も暮れていないのに出歩いてるだなんて珍しい。


「知り合い?」


「ええ、うちに住んでる人形です」


「え、同棲・・・人形?」


メアリーはこちらに近づいてくると手を取り鳥居の方を指さす。

帰ろうってこと?


でも、まだ先輩も宮崎さんも帰ってきてないし、ここで人形を完成させないといけないんだよね。

そう考えているとメアリーが腕を強引に引っ張って鳥居のほうに向かおうとする。

すぐに逃げろってこと?


「ごめん圭吾先輩、ちょっと帰ります。先輩には適当に行っておいてください」


「ちょっと!?」


メアリーが逃げろって言う事なんだからよっぽどのことなんだろう。

そのまま手を引かれ鳥居を越え■■■■■■■■■■■■■■■■■




・・・

・・

賽銭箱に近づくと炭の匂いが鼻に付く。

参道からは見えなかったが、賽銭箱は焼け焦げ上部の格子部分は触れただけでボロボロに崩れる。

賽銭箱が焼け焦げたせいか天井も煤だらけになっていた。


「これは酷い」


ん? あれまた時間戻った?

気が付けばまた賽銭箱の前まで戻ってきている。まさかまたNGを踏んだ?


バキッ!


大きな音が聞こえ何の音かと思い振り返ると金髪の少女が立っていた。

さっきメアリーが立っていた蔵の方ではあるが、メアリーではなく・・・。


「ひっ!」


圭吾先輩は彼女の姿を見た瞬間驚いてしりもちをつく。

無理もない。例の鏡の少女が笑顔で立っていたのだ。

彼女はこっちにおいでと言わんばかりに手招きをすると姿を消した。

あれは蔵まで来いという事なのだろうか?


「圭吾先輩立てますか?」


「あ、ああ。すまない」


手を引いて立たせると埃を払う。

さて、行ってみないとわからないか。メアリーがいなくなっているのが嫌な予感しかしない。


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