ワタシノトコロマデキテ
蛾が飛び去った後の肌は複数の斑点とミミズ腫れでひどい有様になっていた。
「きゃああああああ!!?」
酷い悲鳴とともに俺の手を振り払う。その拍子に残っていた蛾達も飛び立ち、残りの半身まであらわになった。
その下は想像していた物よりもかなりひどく悲鳴を上げそうになった自分の口を咄嗟にふさいだ。
だが、そんな悲鳴を聞けば関わりたくないと知らんぷりを決めていたクラスメイト達もさすがの異常に気が付く。
その姿を見たクラスメイト達は彼女のあまりに変わり果てた姿に後ずさるもの、悲鳴を上げるもの様々な反応を示す。
「なによ、なんなのよあんたたち!」
言っていいものなのか周りが悩んでるところ静寂を破ったのは翔君だった。
「か、鹿島? か、かお・・・」
「か、お?」
恐る恐ると彼女は窓ガラスのほうを見る。
自分の場所からはその映った姿は見えないが、彼女にははっきりと見えたはずだ。
蛾が覆っていた部分の肌がやけどを負ったようにただれ小さな芋虫のようなものが何匹か肌を這っていた。
「ぴっ・・・」
流石にキャパシティオーバーを起こしたのだろう、その場で崩れ落ちた。
・・・
・・
・
その後、鹿島さんは緊急搬送され病院へと連れていかれてしまった。
多分、斑点はあの蛾の毒? 鱗粉のアレルギー? とりあえずあの蛾のせいでできたものだ。
だが、蚯蚓腫れは何重にも線が重なっているところを見ると強くひっかいたことによる炎症によるものだろう。
やっぱりと言っていいのか、蛾の影響はあのアレルギー反応だけではなくメインはあの顔の炎症を認識させないために、卵を産み付けるために隠すように動いていたのだろう。
「ねぇこれってやっぱり・・・」
「絶対そうじゃん」
「・・・」
周りからは女子生徒のひそひそ声がひっきりなく聞こえてくる。
横目で見ると廊下の外から数人の女子がひそひそ声で何か話しているのが聞こえるが、あの蛾が俺のせいだと噂話が広がっているのだろう。
あれは金髪の少女の呪だなんて言ったところでだれも信用してくれないだろう。
自分が言われても「頭おかしいんじゃないの?」って思うし。
ただ、予想外だったのは・・・
「大丈夫か?」
「消毒液いる?」
「顔に止まってたけど顔洗ってくる? タオルなら貸すよ?」
クラスメイトがすごく優しく対応してくれていることだ。
てっきり他のクラスみたいにやばいものでも見るように遠巻きにしてくると思っていた。
「えっと、大丈夫だから。気にしないで」
「でも、なりk・・・鹿島さんも手炎症起こしてただろ。一応洗ってきた方がいいって」
今成金って言おうとした?
・・・さて、ここまでくるとあれが事実になってくるかもしれない。
あとで尋問するか。




