ミテテモツマラナカッタ
ホワイトボードに書かれた相関図に目をぱちくりさせる。
え、苛め?
いや、確かに入学一週間当たりから教科書がなくなってたり、鞄がゴミ箱に捨てられたりなんてあった。
ただ、頭から水かけられたり、階段からけり落されたり、呼び出された場所でヤリ目の男性がいたりとかそんな直接的なことがなかった。
一応初対面の時、早川だったか先輩だったか忘れたが宮崎さんがそのしょうもないことをやってきた犯人だと耳打ちをしてきたのは覚えている。
てっきり単独犯だと思っていたんだけれど違ったの?
「さらにこれに加えて人形の部品を持っていた鹿島さん、それとまだ関係はないけど清原さんもこれから関係しそうな候補だね」
そう言ってホワイトボードに書き足される二人。
「えっと、しょうもないことしかけてきてた。それがこの6人の共通点ってこと?」
「そう、これが四方山後輩が犯人だって考えていた根拠の一つだ」
つまり先輩たちは苛めの復讐心で呪術的な何かを使って彼女たちをひどい目に合わせていたとかんがえていたと。
いや、なんで当事者の俺よりも周りの人のほうが苛めの特定できてるの?
「それは四方山後輩が苛めに対してまったく興味がなかったからじゃないかい?」
「そうだね。姫は苛めに対してあまりにも達観しすぎている。いや、慣れすぎていると言った方がいいか?」
まぁそれに関しては否定しないけれど、前述のとおり中学のころに比べればとんでもなくましだし。
ただ、それはそうとして宮崎さんに教科書とか制服の紛失代請求しようと思ったけれどこれどこにいえばいいんだろう。
「というかここまで調べが付いてるなら、問題にしてくれてもよかったのですが」
「それは姫が平然としすぎていたからだよ。まるで自分のドジのようにふるまってるせいで宮北さんに聞くまでまったくわからなかったからね」
「それは・・・まぁ・・・」
そもそも自分で亡くしたと思ってたしね。
さすがに気が付いてないのに被害者顔する方が無理ない?
「さて、話を戻そう。俺の考えではこの6人が何かをしでかして『鏡の少女』に勇太君が目をつけられたと考えています」
「根拠は?」
何かをしてって言っているけれど具体的に何かをしたのかわかっているのだろうか?
「勘です」
「駄目では?」
「四方山後輩。そうはいってもまだ部品が足りてないのだよ」
「それならいっそ、こっくりさんに聞いてみては?」
あれなら大概の答えはすでに知っているはずだ。
ほら「よんだ?」って言わんばかりに窓の外からあれがのぞき込んでるし、いっそのことスパッと聞いてしまえばいいのでは?
「いやいや、流石に何要求されるかわからないあれに答え聞くわけには行けないでしょ? 昨日だってかなり気まぐれで助けてくれたみたいだし」
それもそうか。
昨日何となくノリで呼んだけれど、初日とか病院の時とか代償要求してきてたし頼み込むのはまずいか。
窓の外で覗いていたこっくりさんは「なんだ」と言わんばかりに姿を消す。
あれ、結局こっくりさんであってるのだろうか? 別の何かな気がする。




