アマリカンケイナイ
正直に保険医の先生が死んでいることを伝えると頭を抱える。
「これ、最悪な事態になってないか?」
最悪な事態というのは多分保管場所内で死に絶えてるという可能性だろう。
そうなれば確かに呪物が逃げ出すという最悪な状況になるはずだ。
「いえ、大丈夫なはずですよ」
「というと?」
「行方不明になったのが3日以内ですよね?」
そう、あの保険医とは一昨日に圭吾先輩と共に会ったばかりのはずだ。
なら蔵の中から逃げ出してとかそういう話はないはず。
「それなら安心か。でも、管理人不在は流石にまずいな」
「あの、関係なさそうなら一旦その話置いときませんか?」
本来ならいけないことだろうけれど今はメリーさん人形に集中しなくてはならない。
今回の件と関係ないなら後回しだ。
「そうだね、それは家の方に伝えておくよ」
気にはなるけれど餅は餅屋とというし生徒会長に任せよう。
「となるとこれで全て持ってる情報は出し合った。そう考えてもいいのかな?」
その言葉に全員が頷く。
ホントのことを言えばちょくちょく行動を書き換えてくる何かが気がかりすぎるが、口にできないというのがつらい。
後は解決するのか罠なのかをはっきりできればいいのにな。
「ここまで来るとだいぶ重要人物は絞られる」
1.鏡の少女
2.メアリー
3.四方山優太
えー? ここまで来てまだ疑われてる?
「言っただろ。あくまでも重要人物、犯人探しではなく原因は何処にあるかそこが知りたいだけだ」
「それ、最終的に全員が悪いって結論にならないですか?」
「それは経験則かな?」
「違います」
経験則の話をするなら悪いのはお互いなんて曖昧無終わらせ方なんてしない。
小さい方が悪者になるそれが答えだ。
例えば声が大きい方。
小さい方の言葉を遮り「間違ってる?」と疑問に思わせれば勝ちだ。
例えば人数が多い方。
5人中4人が否定すれば証拠が出なければ正しいことになる。
例えば噂が上手い方。
証拠が揃っていても同情させられれば加害者が感情論だけで悪になる。
で、最終的にいつも悪者にされてきましたが?
「話は戻すが、あくまでこの三人(?)はキーワードなだけで犯人ってわけじゃない。君がここに名前があるのは中心人物だからだ」
中心人物?
いや、やっぱおかしくない? 今回メリーさんの電話の被害者は宮崎さんであって俺ではないよね?
「なら、姫を中心として今回の相関図を書いてみよう」
「誰が姫ですか」
生徒会長はホワイトボードをひっくり返すと中心に姫と書いて名前を散らばせる。
そして人物との矢印を書いていくのだが・・・。
「はい?」
ホワイトボードに書かれていた部活メンバー以外の学校の女子生徒メンバー、その矢印がすべて『いじめの対象』と書かれていた。




