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シヤクショ⑫ ―side宮崎―

鞄の中から出てきた小包、今持っている鞄は学校鞄ではなく家から持ってきたもので、行く前に忘れ物がないか確認した。

ただでさえ人形のせいで重くなるからと鞄の中身は最小限にしたはずなので、余計なものは入れていないしそもそもあんな小包みたいなものは部屋にはなかったはずだ。


「ああ、それだそれ。多分それに金が入ってるはずだ」


どういう感をしているのか運転手はこれを見ると金が包まれていると言っている。


「そもそも金がないなら乗せるわけないだろ」


「それもそうね」


「どういうこと?」


「ここがどういう場所かはあれが説明してたでしょ?」


なんだっけ? 死役所? 死の世界の入り口? みたいなことを言っていた気がする。


「じゃあこの場所に来れるのはどんな人?」


「えっと?」


え、なに? なぞかけ?

単純に死んだ人とかそんな話? でも、そんな簡単なことだとわざわざ考えさしたりしないだろうし、結構難しいことなのだろうか?

ええっとううんと・・・


「罪を犯した人とか?」


「それは地獄の話よ。単純に死者よ」


それ初めに考えてたやつ。 それでよかったんじゃない。


「このバスは現世から死者を乗せてここまで運んでくる。いわば死神のようなもの」


「まぁ大体あってるな。正しくは三途の川の船頭だったものだ。俺が「渡し守」でこのバスが「三途の川の渡し舟」だったものだ。ギリシャのほうの「渡し守のカロン」は有名な話だろう?」


いや、何御存じのとおりって言いた気に言ってるのよ。まったく知らないから。


「あるいは東〇プロジェクトの小〇塚小町」


「あ、なるほど」


確かにあのキャラ船に乗ってたり死神のか守ってた気がする。なるほど案内人ってそういうこと。


「何よそれ」


「ゲームのキャラ。気にしないで続けて」


説明をすると面倒なのでまた今度にしよう。


「えっと・・・そうそう。だから帰るのにはお金が必要で」


「いや、どゆこと?」


「嬢ちゃん話が飛んでるぜ。つまり本来は死者を乗せる船で生者は載せない。そこまではいいか?」


「あ、はい」


運転手はそのまま話を取り次いで軌道修正をしてくれる。

絶対どこまで説明してたか忘れてたよねみゃーちゃん。


「この船が生者を乗せないのは単純に死の世界に連れて行くからだ。当然行きは基本無料でいけるが、帰りはただじゃない」


「基本無料?」


「それは今は置いといていい。帰りに関しては本来俺たち渡し守の仕事じゃない。だから送り返すには駄賃を取れと言われている」


「言われているの? 閻魔様とか?」


「それもおいおいな。てなわけで帰り道には金が必要なわけだが、じゃあ帰りの駄賃を持っていないやつを乗せてしまった場合どうなる?」


「えっと・・・ここで働く場所を見つける?」


「んなもんねぇよ。単純に現世に帰れなくなるんだ。そしてここは死者の世界。帰れなくなったら行く場所は決まってしまう」


あ、そっか帰れないんだったらいけるのは死役所の向こう側だけ。つまり実質死んだことになるのか。


「ご名答」


運転手は軽く拍手をする。


「だが、そんなことになって困るのはあんたらだけじゃねぇ。生者には寿命というか死ぬ日ってのが決まってるんだ」


寿命と死ぬ日って同じことでは?


「そこは言語翻訳の難しさってところ・・・いやどうでもいいから今は置いとけ。つまり死ぬ日の予定は決まってるわけでそれまでに死役所・・・いや昔の言葉で言った方がわかりやすいか? まぁいい。あそこを通り抜けちまえばそいつは死んだことになっちまう。予定と会わなければわかるだろ?」


つまり予定外のお客で一日のスケジュールがおかしくなる?


「まぁ、そういうこと?だと思うぜ。んで、それがないよう渡し守である俺たちは支払う金があるか見定める特別な力を持っているわけだ」


「ということはあそこでバスが来たのは」


「そう、その小包を持ってたから止まったわけだ」




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