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シヤクショ⑪ side―宮崎―

「はいこれ」


みゃーちゃんは財布から諭吉を出すが運転手は驚いたような顔でそれを見る。


「なんだこれ?」


「足らない? ならはい」


そう言ってさらに諭吉を追加する。

いやそれはさすがにどうなの?


「いや、数の問題じゃなくってな? これ何?」


「運賃よ? そんなこともわからないの?」


「いや、小切手渡されても換金所ないんだが?」


「小切手じゃないわよ万札よ」


「万ってなんだよ札ってなんだよ。日本の通貨って「円」じゃなかったか?」


「ええ、これが1万円札よ?」


運転手は眉間にしわを寄せながらうなる。


「悪いがうちじゃその金は使えないな」


「でも日本円よ? 信頼度はすごく高いしどの国でも換金できるわ」


「だからその換金所も休みもないんだよ。そんな紙っぺらじゃあトイレの紙にすらなりゃしねぇ」


「そう、じゃあはい」


そう言って今度は鞄から500円の束を運転手に渡す。

銀行でしか見ないやーつ。

いや、そのかばんお金どんだけ入ってるの?


「なんだこの真鍮でもない偽金貨は」


「500円玉よ?」


「これも今の日本の貨幣かよ。なんだ、今どきの世界はこんなにも貧相になっちまったのか?」


「さぁ? お金の需要が大きくなったからじゃない?」


「いやいや、金そのものに価値があってこそ為替としてなりうるだろ。国や地域がなくなっても金そのものが売値が付くそれによって支配権が変わっても生きていけたんだ」


確かに言われてみれば昔のお金って金貨や小判、低くても銀貨や銅貨みたいに高い金属でお金出来てたよね。それって御金そのものに価値が残るから使われてたんだ。


でも、いま私たち、そんな昔のお金なんて持ってないし、このままでは帰れないのでは?

稼ごうと思っても私明日迎えたら人形の呪いで死ぬわけで・・・。


「あ、あの。つけとかそういうのはできないですか?」


「普通に無理だろ。借金は支払い保証できないと出来ん」


「でも、帰らないと私死んじゃうんです!」


「安心しろ、ここは死の世界の入り口だ。元の世界より安心して苦しまずに死ねる。呪いで生き地獄になるよりもいいんじゃないか?」


「よくないわよ! 死にたくない!」


せっかく全部部品がそろって生きられることが確定したのになんで不意にしないといけないのよ!


「あー・・・なんだ? もしかして金は命よりも重い、なんてそんな考えだってりするのかね?」


「そんなわけないじゃない! ほら、受け取りなさいよ!」


鞄から財布を取り出して投げつける。

価値がないとか難癖付けて返さないつもりなんじゃない!

なによその「困ったな」とでも言いたげな態度! 他人事だと思って!


「いや、これじゃなくってな? ほら、鞄の中に入ってるだろ?」


「は?」


「もう一回探してみ?」


「そんなのは言ってるわけ・・・」


鞄をひっくり返して出てくるのは化粧品と手鏡とモバイルバッテリーと小包・・・小包?





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