ルイハトモヲ・・・
「60点」
またもや先輩から厳しい点数が言い渡された。昨日の公衆電話の出来事をメアリーのことを省いて書いたものを先輩に見せたのだが。まぁ、昨日に比べればかなり点数はよくなった。まだ合格点に届いてないけど。
隣を見ると早川が昨日と似た点数を言い渡されまた必死に書き直していた。
「この町で起こっている神隠しについて題材にするのも公衆電話を使うのも、あのさびれた駐車場を舞台をするのもかなりいい。しかしだ、完全ホラーにするには主人公が冷静すぎるのと、描写が細かすぎて怖さが伝わらない」
いや、だってあんまり怖くはなかったから、怖さを表現しろと言われても無理がある。
「描写細かくしちゃダメなんですか?」
「ああ、あまり情報が多すぎると読むのが面倒だし、少しぼかしてるくらいのほうが想像力が掻き立てられるものだ」
まぁ、小説って結構読み手側での解釈変わってくるからな。
全く同じ原作の漫画読んでも結構比べるとページ配分とかキャラの感受性とか違ったりするし。
さて、こんないつもの日常のように会話をしているわけだが、別に今朝あったことはなくなってはいない。
ニュースを見る限りあの事故は運転手が突然心臓発作を起こし運転不可能になったのが原因で、救急車に関しても同じように扱われた。
あの後別の消防車が来て消火活動と救助活動が行われ、停電に関してはこちら側では起きておらず、学校は続行。
幸い・・・ではないか。死者が出なかったとのことと犯人が特定されなかったことに少しほっとしている。
いや、だって「私がこの事件の犯人で、この呪物を投げ捨てたことで起きました」なんて言ったところでだれが信じるんだ? 頭おかしい子と処理されるだけだぞ。
で、なぜか一部の生徒から恐れられるようになってしまった。
車にはねられた生徒が俺のいじめの実行犯の一人で、家が焼けたのがいじめの計画を立案した女子の家? 今朝のこともあったせいで「四方山の機嫌を損ねると呪われる」とそんな噂が立ってしまったのだ。さすがに理不尽すぎん?
まぁ、そのおかげで今日は物がなくなったり落書きされたりってことはなかったからよかったけど。
さて、宿題の提出も終ったことだし本題に入りますか。
「先輩、これ」
鞄の中から人形の部品を取り出すと先輩は「ほうほう」と新しいオモチャを見つけたように目を輝かせる。
「四方山後輩、これを何処で?」
昨日の探索であったことを話す。メアリーの事は少し簿かして協力者と言っておく。
絶対にメアリーの事言ったら会いたいとかいってまる1日つぶれるだろうから、紹介するにしてもこの件が終ってからだ。
で、ついでに今朝起こった事件の概要も話しておくと、突然笑い始めた。
「朝の大惨事は君のせいか。あれは傑作だったな」
見てたんだ。
「ふむ、痛み返しの呪いか」
そう言ってまじまじと部品を眺める先輩。
おや? その取り出したカッターナイフで何を・・・。
「是非とも体験してみたいものだ!」
なんのためらいもなく人形の部品を切り付けた!?




