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シヤクショ⑥ ―side宮崎―

バスを降りるとそこには赤一色の台地が広がっていた。

あたりを見回すと当たり前ながらバスから見た光景と同じ赤い背景にドクロと十字架が並ぶ場所。

道の先には小さめの病院のような建物が立っているだけだ。


「大丈夫?」


具ワイが悪く頭絵お抑えていると心配そうに話しかけてくる。

色濃い真っ赤な世界が続くせいかずっと頭がくらくしている。


「正直きつい。みゃーちゃんは大丈夫なの?」


「慣れてるから。確かに月も星もない真っ暗なこの場所だと頭がおかしくなってきそうなのは確かよ」


「え?」


真っ黒? 何を言っているのだろうか?


「ああ、見えてる景色が違うのかい?」


声をかけてきたのは例の運転手。仕事を終えたからだろうか、煙草をくわえバスにもたれかかって一服している。


「この場所は地獄の入り口? うん言語変換的に少しおかしいか? ・・・ああそうだ死の国の入り口とでも言っておこうか。ここでは罪の重さに応じて見えるものは変わってくるわけだ。白ければ罪は軽い、赤ければ重いって風にな」


「じゃあ黒は何なのよ」


「神様も目をつむるってよ。あんた、聖職者の中でも守護者側の人間だろ?」


「いや、ご存じの通り的なこと言ってるのよ」


確かに。守護者とか言われてもまったくぴんと来ない。


「ああ、そうだな。あれだ、あれ。悪魔狩りとか異界の門番とか神守とかそういう罪を犯さないとある程度やっていけない仕事だ」


いや、結局どういう仕事?

罪を犯す犯さないって要は警察が仕方なく進入禁止の場所に入ったり、人を殺したりしてしまったみたいなこと?


「まぁそういう仕事だ。それにしてもそっちの嬢ちゃん。実はとんでもない罪・・・いや、神様を怒らせるようなことをしたんじゃないかい?」


「え?」


「罪人は濃くても大概夕焼け空程度に見えるはずだ。でも嬢ちゃんの場合完全な赤だろ?」


そう言って運転手が笑うとみゃーちゃんは私を背後に庇い銃を構える。

当たっている。神様が起こるようなそんな出来事にも心当たりがある。

でもなぜそう思ったのか。


「長年の感だよ。ここにきて気持ち悪くなるのは大概神様から怒りを買った人間だけだ。そんな珍妙な物の封印解いてまで嫌がらせされてるんだからよっぽどの物だな」


「それってまさか人形のこと?」


「ああ。そいつはまぁ危険度でいやぁ大したもんじゃあない。ただ、人になりたいだけの『欲しがり人形』さ。うまいこと都市伝説をなぞらえて・・・」


そう言いかけた途端だった。

轟音と強い光が視界を覆い、目の前にいた運転手はおらず黒い塵だけがバスの隣に残っていた。





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