コドクノコドモ⑪
一瞬新しく増えた子もこの怪異の一種かなとそう思っていた。
初めの二人に加え、途中から追加されたあからさまな子が増えたことを考えると時間経過でいつの間にか人数が変わっていく。遊んでいたらいつの間にか人数が増えていたなんてそんな噂話よく聞くものだ。ならマイナーな噂話から生まれた怪異がいるなら有名な噂から生まれた怪異だっていてもいいはずだ。
ただ、この子は途中から加わった彼?と明らかに違う。
先輩がこのもう一人の少年の存在に気が付いたのだ。
「なあ、四方山後輩。一人増えてないか?」
「何言ってるんですか? 一人どころの話ではないですよ」
「んん?」
どうやらここまで言っても和服の彼?が増えたことに全く気が付くことができていない。
あんな今どきでは珍しい和服を着こんだ白髪の少年に何ら違和感を覚えないのも不思議な話だ。
で、新しく増えた少年は金髪というよりは橙色に近いようなそんな髪色。和服っぽくはあるんだけれど異世界物などである「新刊服に和風っぽいデザイン入れてみました」と言わんばかりのコスプレ衣装。そして何よりうっすらと見える頭から生える狐のような耳とゆらゆらと揺れる触手のような細い尻尾。
すごく、すごーく覚えのあるデザインなのですが、先輩にはその既視感あるチャームポイントにも全く気が付いていない様子。
たぶん耳と尻尾はしっかりと隠しているんだけれどそれ以外の部分で致命的に失敗してる!
「ふむ、まさか私が知らないだけで7人目が?」
いや、いませんよ?
ただ、そんなキラキラと期待のまなざしを向けてくる先輩を少しからかってみたくなるわけで。
「ええ、いますよ? 真っ白なのが」
「ほうほう、真っ白?それは服装と髪がかい?」
「いえ、どちらもありませんね」
「ふむ、そいつはもしかして笑っているかい?」
「ええ、笑っています」
「全体的に丸い?」
「はい、丸いですね」
「ソレはもしかして足がない?」
「いえ、ありますよ?」
「なら典型的な幽霊ではないか」
頭の中で絵本の表紙に描かれた黄色い目の幽霊を思い出す。
典型的という布のようなものがかかった幽霊より子供のころに見たあっちの方がイメージ強いんだよね。
なんだこれ、ウミガメのスープでもやっているのか?
なんだかキリがなさそうなのでここで話を切っておこう。
「大きな口が付いた2足歩行の球体ですよ?」
某妖怪大辞典に出てくるような人の後ろをついて回る白いあの妖怪。
まぁ適当だけど。
『なんでばれたし』
「「え」」
振り向くとそこには某妖怪漫画に出てきた例のやつがいた!
いや、著作権的に名前出していいかどうかもわからないから言わないけどどう見てもあれ!
そいつが震えながらこっちを見ている。 目がないからどうかわからないけど。
「「まじで!?」」
『やば、かまかけられた!』
そう言ってペタペタとコミカルな足音を立てながら奴は走り去っていった。
「四方山後輩、今のとれたかい?」
「あ、やば」
自分がビデオカメラを持っていたのに今のやつを取り忘れた。
いや、映るかどうかは知らないけれど。今すごいチャンスだったのに!
「ア、ウゴイタ」
そういえばそっちもやってる最中だった・・・。