トリアツカイチュウイ
抜けてたぁ!!!(何か月も気が付かなかった)
鞄のなかに人形の胸部が入っていた。
うん、確かに昨日これをあの怪異から交感してもらった。でも、今朝から存在を忘れていて鞄に詰め込んだのは原稿用紙だけだったはずだ。
まさかメアリーが気をきかせていれてくれたとか? それだとありがたいんだが・・・。
うちの学校の校則のことについて述べたとおり、結構厳しい面がある。これは授業や部活で使う道具の持ち込みもかなり制限される。
例えばハサミ、裁縫道具、色鉛筆、絵の具など部活で使うとしても校内に持ち込めるのは購買で販売されている学校指定の物で一つまたは一セットまで。ボールペン、消しゴム、筆箱まで学校指定品のみ(当然改造禁止)となっている。部活の道具はすべて申請するか顧問に持ち込んでもらわなければならないのだ。
なんでここまで徹底しているかなとは思うが、なぜか髪の色とか長さが規定がなかったり、単色または部活時間以降はネイルOKだったりと謎なところあるんだよな・・・
閑話休題
まぁ、当たり前だがこの部品も完全に持ち込み禁止物であるため聞かれる。
「これは?」
「あー・・・オカ研で使うものです」
事実だ。正しくはオカ研に依頼してきた宮崎が必要なものなのだが、オカルト関係の物であることには変わりはない。
「そうか、これは学校で必要なものだな」
そう言って口元に指を当てウィンクしてくる。どうやら見逃してくれるらしい。
あがと生徒会長と、思っていたが
「ダメに決まっているでしょ」
そう言って女性の細腕が生徒会長の腕をつかむ。副会長だ。まあ、会長の左腕ポジションならなれてるはず・・・
「ひっ」
会長!? 駄目なのか!? もしかして副会長が裏で仕切ってるのか!?
「全く、何で彼にたいしてそんなに甘いんですか」
「・・・」
「聞いてますか会長」
「いや、気絶してるから」
さっきから白目むいて痙攣してるから。不意打ちで触られて気絶するってどんだけ女性苦手なんだ。
「ともかくこれは没収します」
そう言って足元の段ボール箱に投げ入れようとする。
「あ、それ一様陶器なので、投げるのは」
「不要物を学校に持ち込むからです。大切なものなら家に置いておきなさい」
いつの間にか入ってた物なんですけど~。
まあ、ダンボールの中に布らしき物が入っているから割れないと思うけどそれ一応呪物なんだけよね、呪われても知らない。
ガリッ!
「っ!」
「え?」
なにかが削れる音と共に副会長が胸元を押さえる。それと共に押さえた部分からじんわりと赤い染みが広がった。