イメチェン?
朝。
目が覚めると化粧ッ気のある美少女の顔が映し出される。メアリーだ。
おはようと声をかけながら頭をなでると、すこしはやいめだが布団から出て朝支度を始める。
昨日あれから先輩達と共に喫茶店『月華』でお茶をしてからの解散となった。
流石に二日連続で不審者が現れることは・・・いや、自販機より背が高い白ワンピースの女性は見かけたけれど・・・うん、通り魔に襲われるようなことはなかったから平和だった。
喫茶店ではいろいろと情報の整理もできたし収穫は確かにあった。
鏡を前にするとハサミで前髪を短くする。いつもヘアアイロンでまっすぐにしていた髪も今日からブラシで整え、お湯で寝癖を直す。
さらにしばらく洗顔料だけにしていたスキンケアも化粧水を使いしっかりと行う。当然すぐよくなることはないけれど始めないと変わるはずがない。最後に唇をリップクリーム(透明)を使うと身だしなみはよし。
その後メアリーの作ってくれた朝食をいただくと家を出た。
昨日の夢世界でいろいろと吹っ切れた。
というのも自分が何を望んでいるのかはっきりとわかってしまったから。
なら今までとは違う自分なんて見切り発車のイメチェンなんかよりも、自分の欲望を満たすための努力のほうがよっぽど健全だ。
支度を終えて玄関から出ると丁度早川と出くわす。
毎度のことながら日直じゃない日以外はこうやって出くわす。それも遅刻や早起きの時も。
まさかこちらの生活に合わせて行動しているのではないかと思うほどいいタイミングで毎日遭遇するのだ。
早川はこちらの姿を見て「誰!?」と言わんばかりの表情を見せるが、挨拶をすると声でだれかわかったらしくさらに驚く。
「え、あんた四方山!?」
「以外に誰だと思うんだ」
いろいろと吹っ切れた結果、確かに今日から少し気合を入れてイメチェンというか中学の頃の様にイメージバックをしたのだけれどそれほど変わっているだろうか?
「髪型変わっただけだけど?」
「完全に女。男子制服に女の顔が付いてるのキモイ」
「はっはっは! やんのかこら!」
ストレートをお見舞いしてやろうとするが、軽々とよけられる。ち、さすがにエクソシスト様の運動神経にはかないっこないが・・・。
「あ」
勢いをつけすぎたせいか眼鏡が外れアパートの廊下を滑る。
せっかくの運動神経がドジで台無し。なんでいつもそう残念なのだ。
しかし、そんなに変わるものなのだろうか?
髪が突然ロングになったわけでもなく前髪を切っただけ。化粧水なんて1か月でビフォアアフターで差がわかる程度にしか変化がないものだ。前髪一つでそこまで変わるものだろうか?
「それで、昨日は結局見つかったの?」
見つかったというのは多分人形の部品のことだろうと思い「見つかったよ」と生返事をする。
残念ながらまだ生徒会長に貸したままだ。タイムリミットもそこまで遠くはないから今日明日で帰ってくればいいんだけど、貸したのは少し間違いだったか?
などと考えながら門を出ると・・・
「あぶない!」
「え?」
その声に振り向くとすんでのところまで来ていたロードバイクに激突される。
しかも跳ね飛ばした本人は体勢を立て直しそのままひき逃げしていった。
「またか・・・」
なんでここの人たちは平然とひき逃げをするのか。
昨日と違い完全に認識して引いていったぞ。
「あんたもいい加減学習しなさいよ」
ごもっともで!




