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結局来た意味なかったside-宮崎-

荷物を片付け、祟られ様の祠を後にし正門前までやって来た。


「今日は本当にありがとうございます」


九条が先輩に頭を下げるとそれに倣って弟も頭を下げる。

彼が暴走することも、ここに人形の部品がるわけでもなく結局怖い思いをさせられるだけだった。

来る意味はなかったが、パフェのおごりを確約できたわけだし良しとしよう。


「いやいやとんでもない。こっちとしてもついでに面白い体験ができたからね」


呪いを解くほうがオマケでは? というのは言わないでおこう。


「さて、もう暗くなってきたわけだからここでお開きにしようじゃないか」


「あの先輩。警備員はいいんですか?」


先ほど私たちを置いて逃げて行った警備員、あの後少しだけ探しはしたものの池の中にも近くにもいなかった。

そのせいですっかり日が暮れてしまい、街灯がぼんやりと夜を照らしている。


「ああ、それは私が探しておくよ」


そう言ってはいるが、あのなぞ空間で行方不明になった以上簡単に見つかるとは思えない。


「なに、こいつがいるから何とかなさ」


そう言うとにゅるりと管狐が先輩の制服の中から出てくる。

それを見て弟は「ひっ!」と短く悲鳴を上げると九条の後ろに身を隠した。

だいいろんなものを見て慣れてしまっているが、確かに首の長い狐のようなものがいたら不気味だろう。


「まさか、廃病院の探索するとか言い始めませんよね?」


「いや、さすがに今はしないさ」


今はということはいつかやるつもりなのか。と突っ込まざる得ない。


「さすがに明日また学校があるからね。下手に休むようなことはしないさ」


「変なところで真面目なんですね」


「当り前だろう? その方が何かあったとき融通が利くからね。それよりも、宮本さんを家まで送ってあげてくれないかい?」


「宮崎です」


この人ほんと名前覚える気ないな。一瞬だれのことかわからなかった。

九条は何か分かったのかひとりでに納得すると


「わかりました。任せてください」


ここに来るまでは物凄く嫌っていた感じだったのに、いまではかなり従順だ。

弟が助かったのがそれほど嬉しかったからか。それとも単純に馬鹿なのか。

多分夜の一人歩きは危険だからエスコートしろということなのだろうけれど、みゃーちゃんの様に特に強いわけでもない彼にその役は適任なのだろうか?


「ああ、あとお礼にと言っては何だが少し頼まれてほしいものがあってね」


「いや、それこちらが切り出すやつであって受け取る側が言うものじゃないから」


それはごもっともだ。というかお礼の品は四方山から先払いで受け取っていたという話じゃなかったのだろうか?


「なに大したことじゃない。これは弟君にしか頼めないことだからね」


「変なことじゃなければ」


そう聞いて九条は弟を背中にかばう。


「肝試しで何があったのか詳しく書いて提出してほしいんだよ。何故ああなったのかや対処法の考察がしたいからね」


九条の右ストレートが先輩に襲い掛かるが、あっさっりと流されたうえでひねられる。

トラウマまがいのことを思い出せと?


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