表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/163

祟ラレ様side-宮崎-

祟られ様


昔この町で疫病が発生した。

全身に赤いまだら模様ができ、高熱と模様の部分に強い痛みを感じるものらしい。

その感染力はすさまじく瞬く間に待ち中の人々に感染していった。

風土病として語られてはいるが、感染症が蔓延したのはその一度きり、原因も本当にその病気が流行ったのかも定かではなく。

当然当時の医者もその病気の治療また感染を広げないよう様々な方法を試したが全く効果はなく、この町と人々を捨てなくてはならないそう思われていたある日のこと、「ソレ」が現れた。


「ソレ」は身長が二メートルもあり、大きな頭。そこに歪についた複数の目、そして両手の指に鋭い爪があったという。


「ソレ」は町長に住める場所はないかと尋ねた。

当然そんな物の怪を町に住まわせたいなんて思うことはなく、断ったのだが「ソレ」は小さな祠のようなものでもいいそう言って近くにある石の灯篭を指さしたのだ。

そこで町長はもしかして「ソレ」はすむ場所をなくした神様ではないかとそう考えたのだ。

住まわす代わりにこの町の疫病を何とかしてほしいと町長が頼みこむと「ソレ」はしばらく悩んだのち、その祟りを引き受けようそう言ったのだ。

そう、この疫病は実はある神様だったものの祟りであったのだ。

「ソレ」は他にもいくつかの条件を出し町長が了承する。


そうしてその神様のための小さな祠を作ると人々の祟りがなくなり、元の元気な姿に戻っていった。

そして、祟りの原因も見つかりぶじ鎮めることができたという。


人々の祟りを引き受けてくれた。そこからついた名前が「祟られ様」だという。



と、そんなことを先輩が語っているがいくつもの疑問はいったん飲み込むとしてせめて一つだけ確認させてほしい。


「それどこ情報ですか?」


わたしは幼い頃からこのA市に住んでいるが、そんな伝説一度も聞いたことがないしこの近くに祠なんてものを一度も見たことがない。

いま私たちはその祠があるらしい場所に向かっているのだが、タクシーやバスに乗ることもなく徒歩で移動している。ということはここからそれほど遠くない。そんな大きな疫病が起こったのならば祭りにならないとしても耳にはするはずだ。

一体どこ情報なのそれ?


「ネットだが?」


「「おい」」


九条の声と被る。

まさかここまで来て信憑性皆無になるとは思ってもいなかった。

そんな不確かな情報だけで堂々と救えると信じ込んでいるなんてどうかしてるんじゃないの?


「おいおい、そもそも突っ込みだしたらキリがないだろ。こんな場所で昔から町があったかすら怪しいし、2メートルという表記もここ最近の物だしそんな化け物が石灯篭サイズの家が欲しいと願うのもあり得ない話だろう?」


そう、飲み込んだ矛盾点はそこだ。失礼ではあるが、ここら周辺が町だったというにはあまりにも田舎で、あったとしてもせいぜい村程度、サイズにしたってメートルじゃなく7尺と呼ばれるだろうし小さな家を要求する意味が分からない。他にもありそうな矛盾点はたくさんある。


「だが、考えてほしい。この町では様々な噂話が飛び交い、それが本物となって襲い掛かってくる。そんな町で祟られ様が存在しないと言い切れるか?」


「いや、俺生まれてこの方怪異なんて一度も見たことがないんだが・・・」


確かに、私も数日前に見たのが初めてでそれ以前は一度も遭遇したことがなかった。


「ふーむ、魑魅魍魎がはびこるようになったのは最近と考えていいのか。じゃあ、犯人不明の未解決事件の数々はどう説明をつけるんだね?」


「偶然・・・ていうのは無理があるか」


そう言って彼は背中に背負っている弟をチラ見する。

人形の部品を回収したおかげか目の腫れはひいてきてはいるが、いまだに体調が戻らず目も覚まさない。

これを病気と片付けていい物ではなさそうだ。


「まぁ安心したまえ、昨日祠のありかについては確認してあるのだよ」


そういうが、どうも信用ならないのはなぜだろうか。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ