シカイ⑰
あのあと何事もなくすんなりと死階を出ることができた。
てっきり連れ出そうとすると何らかの妨害をしてくるかと思ったけれど・・・。
「【逃げられても気にしてないみたいだよ? むしろ新しい餌連れて来るってくらいしか認識ないみたいだし】」
慢心してらっしゃる。確かに話を聞く限り討伐隊のほとんどが餌でしか無いから仕方無いんだけど・・・。
比較対象がないかこれがどれくらいとんでもないものなのか全く判断ができない。
危険度で言ったらあの足取りのスーパーばーちゃんのほうがとんでもなく強く思える。
「【まぁ、こいつが討伐されてないのは死人が出てないからなんだけどね】」
「というと?」
「【じつは・・・】」
この空間の繭、あれは中の人間を保存するための容器のようなもので、鮮度を保つためある程度栄養などが中にいる生物に与えられるらしい。そのおかげか、この空間の中で死亡するのは寿命を迎えてなくなる人だけだとか。
うん、結構内容を削って話した。途中専門用語がいくつか出て全く分からなかったから大体こんな感じってだけ。
じゃあなんで人を閉じ込めてるの? と聞くと・・・。
「【夢を食べてるんだよ】」
「そーなのかー」
「四方山君、思考放棄はよくないよ? (なに話してるかわからないけど)」
聞いといてなんだけれどあまり詳しく聞いたらまた専門用語とか、夢によるエネルギーが何たらとか話が長くなってしまう気がするので、もうまんぷくかなって。
知りたい気持ちもあるけどまた今度聞こう。
そんな話をしていると彼女(名前忘れた)の病室へとたどり着き、ベッドに降ろされる。
「まぁ、ここまではいいとして誰が起こすの?」
一度説明した通りここにいる男性陣は彼女を起こすのは賛成だが、自分では起こしたくないというわがままな思考をしている。
というか好きでもない相手にキスしたいと思えるほど性欲旺盛でもないし「枯れてるんじゃないの?」とリアに心配される程度にこのメンバーは性欲に乏しい。まさか人外の彼女に指摘されるとは思ってもみなかった。
好きになったのが姫であってホモではないと言われたときはいろいろと突っ込んでしまったけど。
「【私が起こせばいいんじゃないの?】」
「え」
「【いつもやってることだし慣れてる】」
いつもということは結構な頻度であそこに迷い込む人がいるのだろうか? というか彼女の口は顔の縦方向にがぱっと横に裂けるようについているものと、頬?あたりに小さいのが付いている。どうやってキスを?
そう思っていると彼女に覆いかぶさり、頬にある一つでキスをした。
「あ」
「あ」
さて、彼女の視点から少し考えてみよう。
目が覚めたら無の前に人間とは思えないような怪物。
叫ぼうと思っても口がふさがれ声も出せず、パニックで呼吸もうまくできない。
暴れようとしても体を押さえつけられる。
唇が離れる。(なぜか糸がひいている)
再び気絶する。
えっと・・・ご愁傷様です。




