表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/163

シカイ⑤

えっと、これは勝ったのかな?

あからさまに腕があらぬ方に曲がり顔は鼻が潰れ歯も折れて無惨な姿になってしまっている。

一応死んだら能力は無くなるけど生き返れると聞いているけど、まさか死にきれてなくて生き返れないとか?


そう思っているとフラフラと起き上がる。


「うそ、まだ起き上がれるの!?」


「まだでゃ、までゃやりぇる!」


いや、もう無理しなくていいから!


そいつは起き上がるがまっすぐ立つことも難しく能力の腕が支える感じになる。


「かかえおひなんへふるひもない(抱え落ちなんてする気はない)」


「そこまでして何を願うんの!?」


「おりぇがしぇはいのすへへのおうになりゅ、(俺が世界のすべての王になる)しょししぇせはいのほうをふくりせはいへいわにふゅるのら!(そして方を作り世界平和にするのだ!)」


「それ世界征服!」


思考が完全に悪役なんですけど!

あれこそこっち側に最適だったんじゃない!?


「いふしょ!はいふゅうほうひ【あしゅりゃ】!(行くぞ!最終奥義【阿修羅】!)」


「ここに来て和名!?」


直後、彼の背後にさらに半透明な4本の腕が現れる。ってあれ?


「自分の腕合わせたら8本になるんじゃ・・・」


「はいふゅうほうひ【ぜひぃるふぃてゅ】!(最終奥義【デビルフィッシュ】!)」


命名し直した!? しかも今度は英語じゃん!


4本の腕が同時にこちらに襲いかかって・・・


ベチィン!


襲い掛からない!腕が同士がぶつかり合ってお互いの邪魔をした。

うん、そういえば一本でも制御できてなかったね。


「うりゅへー!(うるせー!)」


「いやまだ何も言ってない!?」


腕の一本に続いて二本目三本目と横一列に並んで・・・

一応言っておこう手のサイズは普通より大きいと言えせいぜい二倍くらいのサイズで、それが4本並んでるわけで・・・


ヒョイ


「ひゃひ!?(何!?)」


何に驚いてるんだあんたは! 

さっきまでは透明だったけど今は丸見え、それも横に並んでるし動きが読みやすい当たる要素ないんですけど!

そうおもっていたが。


「え?」


横っ飛びでよけると何かが顔に覆いかぶさり頭を支点として体が宙に浮かぶ。


「ふが【以下短縮】(ふっ騙されたな俺の能力は見えない手を生やす能力だということを忘れていたようだな!)」


え、出力不足で見えるようになったわけじゃないの?

というか


「八本じゃないの!?」


「ふが(そんなのフェイクだ!名前がそのままとか相手に予想されるだろう!)」


ごもっともで!


「汚い手を!」


あ、だめ。握る力がどんどんと強くなっていってあーつぶれる潰れる! え、ここで死んだらどうなるの? 頭弾けての臨死体験とかいやすぎるんですけど!?


そんなことを考えていた時だった。突然握りつぶそうとしていた腕の力が弱まり、体が宙に浮かぶ。

体は投げ出されることなく誰かに片腕で抱えられ自分を抱えているにもかかわらず軽い足取りで着地すと同時にどさりと音を立て近場の土の上に腕が落ちたのかへこむ。


「ふがが!(馬鹿な俺の腕を一撃で・・・貴様何者だ!)」


「無事かい。お姫様」


そんな相手の問いを聞こうともせず助けてくれた誰かは俺のことを気にかけてくる。その顔はすごく懐かしく、もう会うことはないだろうと思っていた幼馴染の顔だった。


「え・・・稔? って誰がお姫様だ!」


そう言って彼の額に手刀を決める。そんな俺を見て少し懐かしい笑顔を向けてくる。


「はは、勇太は変わったね。さてと、あいつは敵でいいのかな?」


そう言って先ほどから「無視するな」と主張しているあいつに目を向ける。


「うん・・・いやもしかして稔も異能力者?」


「ああ、異能力者(フェイフィカイト)だ」


あ、それ通称なんだ。


「でも異能力者ということは敵なのでは?」


「痛いとこつくな・・・」


あ、ちゃんと敵対している自覚とかはあるんだ。


「で、あいつはさっきから何叫んでるんだ?」


「あー・・・」


俺からしたら副音声みたいなのが流れているから何言っているかわかるけれど普通「ふがふが」とか聞こえないもんね。


「無視するなとか。なぜ味方する。とか叫んでる」


「あれが言ってることわかるんだね。立てるかい?」


「うん」


彼は俺を降ろすと「彼を頼んだよ」と言って片手で持っていた竹刀を構える。

頼んだよっていったい誰に? そう思っていると俺の隣にあの金髪の少女とメアリーがやってくる。


「もしかして彼を呼んだのって・・・」


メアリーがうなずく。

金髪の少女はそうでもないようだが、二人とも心配してきてくれたのだろうか。


今は彼のほうに集中だ。

彼は先制と言わんばかりに突撃すると何もない場所で竹刀を振る。するとどさりと音を立てて何かが落ちる。それをみえる腕を含め8つを次々と切り落とす。


「ふがが!」「何故だ、俺のウンズィヒトバァ・アームは鋼鉄並みの強度のはず!それをこんなにもやすやすと!だって!」


「翻訳感謝。簡単だ、俺のフェイフィカイトは『切れそうなほどの剣撃』からの派生だからな」


えっとつまり竹刀の剣撃が鋭すぎて物を切れそうという事からの能力ということ?


「切れるかもしれない。その思いから俺が切れると思えば何でも切れる。単純でいい能力だろ?」


「すごい無茶苦茶理論!」


いや、手の届くってところから相手の能力生まれているわけだし、結構そんなもの?


「ふが、ふがが!!」「ふん、たかが切れるだけかならこれでさばけまい!最終奥義【千手観音】!って最終奥義なのに二つあるの!?」


しかもさっきのやつより上位互換!全然最終じゃなかったじゃん!

背後の腕が複数現れ・・・


バチン!


真上にあった電線を押し上げた挙句それに耐えられなくなりちぎれて垂れ下がる。そのせいで家に向かう方向の街灯が次々消えていく。


「「「・・・」」」


ええ、ここでそんなしょうもないことやらかす?


「ふがふが!(おのれ、アインザーム・ブーゼもよくも!)」


「いや、今の思いっきりあんたのせいだよね!?」


向こうは腕を透明化するのも忘れ次々と腕を伸ばしてくる。

これは消耗戦になるか? そう思った時だった。

稔君が竹刀を一振りするとぴたりと腕たちは動きを止め消滅する。

そして相手の本体の両腕が地面に落ちたかと思うと上半身も下半身からずり落ちた。


「相手に合わせて言うなら最終奥義【一閃】といったところかな?」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ