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シカイ①

一応言っておくけれどちゃんと地下に到着してその続きです

気が付くと俺は教室の中にいた。

周りを見回すが、もうすでに誰もおらず窓からは夕日が差し込んでいる。

窓の外を見るとお気に入りのベンチとため池が見え、その向こう側に旧校舎がたたずんでいた。

ため池の近くには小さな小屋があり、鰐がのんびりと日光浴なのか丸まって眠っているというかなりシュールな光景が広がっている。


「・・・」


考え事をしていると教室の扉が開き見知った顔が入ってきた。


「おう、勇太お待たせ」


そう言って手を挙げてくるのは翔君だ。

席から立ち上がると鞄を持ってかれのもとへと向かう。

一応机の中をのぞいたが、あったのはそれなりに使われた資料集だけだった。


「何か約束してたっけ?」


「何言ってるんだ? いつも一緒に帰ってるだろ?」


「そうだっけ?」


「はは、おまえらしいな」


2人となりで並んで教室を出て歩き出す。

今度はどんな劇をやるのかやどんな役をやるのかなど他愛もない話をして歩いていると正門前に生徒会長と風紀委員長の背中が見える。

どうやら生徒会長がこちらに気が付いて振り返り手を振ってくる。


「やぁ、奇遇だね姫ちゃん」


なんだその姫ちゃんって。

なんて思ったが不思議と悪い気はしなかった。

というのも少し懐かしいそうどこかで感じる自分がいたからだと思う。


「こんにちは、四方山さん。今回に関しては本当に偶然なので大丈夫ですよ」


そう言って少しメガネの位置を直す風紀委員長。

別に待ち伏せしてたとかそういうのが気になったわけではない。ないのだけれどあの呼び方をされたときにちょっと表情が変わったのを察したからなのかな?


「おいおい、いつもち伏せしてるみたいに言うじゃないか。俺のことなんだと思ってるんだい?」


「質の悪いストーカー」


「?」


本気でわかっていないようで首をかしげる生徒会長。まさかとは思うけれど今朝(?)のこと考えると否定できないよね・・・。


「お二人はお仕事終わったんですか?」


「ああ。それより姫ちゃん。そんな他人行儀な話し方じゃなくっていつも通り名前呼んでよ。敬語もなしにしてさ」


名まえ? ふむ・・・


「なはは・・・一応先輩後輩ですよ圭吾先輩。こんなところでそんな仲良しアピールしたら変な人がいちゃもんつけてくるじゃないですか」


「はは、そんなのもういまさらさ。それより一緒に帰らないかい? 君のお気に入りのカフェ、新作のデザート出たんだって」


「風紀委員である俺の前で堂々と寄り道宣言とはいい度胸だな」


「おや、来ないのか? どうせ車で移動だしマスターも黙っておいてくれるだろ? それに姫ちゃんに餌付けできるいいチャンスだと思うんだけどなー」


本人の前で餌付けとかいうなよ。


「まぁ、そういうなら仕方ないか。今回だけですよ」


「納得するの!?」


「そうと決まれば。君も時間があるなら一緒にどうだい?」


「あ、俺もいいんですか?」


「当り前さ。独り占めに関しては許してほしいけれど姫ちゃんから引き離すのも何かおかしい話だしね。ナイト同抜け駆けや横取りはしないさ」


「ありがとうございます」


体育会系(?)のやり方というかしっかりと目上の相手に礼儀よく接しつつ謙虚になりすぎないところが彼の美点だなと思う。


この後生徒会長の車に乗せてもらいいつものカフェで4人でお茶をすると言うなんでもない日常が広がる。

なお、俺の料金は生徒会長と風紀委員長が割り勘して払ってくれた。

先輩だーい好き!





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