ツレテッテアゲル
ここ最近奇妙な事件が多くみられる。
新聞を見る限り他県では異能力者がらみの高校生くらいが起こした証明不能な事件が多いが、ここA市では都市伝説が乱立してしまうほどの犯人不明の事件が起こっている。
例えば口をナイフで切られ無理やり広げられた者、交通事故にあったような死体だけが残る交差点、まるで突如消失したかのように体の一部がくりぬかれた猟奇収集事件、全身虫に貪り食われたかのような死体などなど、まるで怪談話を聞いているかのような怪奇事件ばかりだ。
そして、その事件はすべて夜に犯行が行われているらしく夜になると警察や教師が巡回を行っており、人の気配を全く感じられない。
そんな中、彼女に手を引かれ裏通りの道を歩く。
携帯の小さな液晶は夜の12時を指しており、そろそろ帰らないと明日に支障をきたしてしまいそうだ。
初めのほうは家の明かりがちらほらとあったが、次第に明かりの少ない方へ向かい街灯の少ない山へと向かっていく。空を見上げると雲が星空を隠し、時折見える三日月がうっすらと目を開ける化け物のように見えて不気味でならない。
出発してからすでに1時間が立つ。その間彼女は一切振り向かず、止まることもない。
彼女はいったいどこに向かっているのだろうか? まるで俺を連れさらっていっているようだ。
ただ、それでもいいんじゃないかと思ってしまう自分がいる。このまま彼女とともにどこか知らない場所に行ってしまい自分が自分じゃなくなるとしても。期待だけさせられて何もなかったいつもの日々を送っていくよりよっぽどいいのではないか?
そんなことを考えていると空地の前を通り過ぎたところでメアリーが足を止め、再び空地の前に戻る。
目的地に着いたわけではなく何か気になるものが見えて足を止めたようだ。
携帯のライト機能で照らしてみるとその空き地には不法投棄であろうごみの数々が散らかっていた。
「ここに何かあるの?」
尋ねるとメアリーは頷き奥の方を指さす。そこには光を反射するガラスの箱があった。どうやらあれが気になるらしく、それを取ってくることにした。
近づくにつれてそれの中身がどんどんとわかってくる。それは市松人形であった。
外のガラスはほこりをかぶり部分的にひび割れているが、中の人形はしっかりと保存されていたらしくほこりなど全く被っていない。軽く中の人形を取り出してみるが、どこか壊れた部分はなく髪がカールされているところを見るとそこまで古くに作られたものではないのがわかる。
と、ガラスケースを持ち上げた時裏側に何か紙が手に当たった。 まさかお札でも張られているのかと思い裏側を見てみると想像とは違い手紙のようなものが張られているのがわかる。
開けてみると保証書のようなものが入っており、30年前に変われたものであるのと元の持ち主の名前が書かれていた。
「大島 麻由美」
・・・なんとなく口にしては見たものの全く知らない名前である。その人形を抱え彼女の元に戻り尋ねてみるが、メアリーは首を横に振った。言いたくないのではなく、どちらかというと本当に知らないようだ。
さっき空き地の前を通ったときの様子を思い出すに、偶然見つけただけで今回の行き先には全く関係はなく、ただ目に入ったこの人形が欲しかっただけなのかもしれない。




